次の一手を求めて  JFW―JC・PTJレビュー( 2)

2023年11月16日 (木曜日)

素材の特徴明確に

 第一織物は、超高密度織物の製造・販売を強みとする企業だ。超高密度織物の上質さは「インチ間に何本の糸を使うといった数値の高さや機能ではなく、美しさや風合いにある」と話し、今回の「プレミアム・テキスタイル・ジャパン」(PTJ)でもそれを体現する生地を並べた。

 商品の提案に加え、10月に開設した電子商取引(EC)サイト「ディクロス オンラインストア」も紹介した。BtoB限定のサイトで、会員登録すると超高密度織物の「ディクロス」シリーズが1㍍から購入できる。反物は1~4反まで応じる。

 オンラインストアはシンプルな構成にしているため分かりやすい。ブランドごとに生地が選択できるほか、素材の特徴(ダウンプルーフや軽量、光沢など)や用途、目付けからでも生地が検索できる。

 齋栄織物はサステイナビリティーを意識した提案を行い、その中でもオーガニックシルクを前面に打ち出した。中国産とタイ産の原料を活用しているが、今回展ではより品質に優れる中国産を使った生地を紹介した。原材料は「GOTS認証」を取得している。

 今年7月にイタリアで開催された「ミラノ・ウニカ」でデビューし、国内ではPTJが初披露の場になった。海外顧客の評価は高く、日本市場での展開にも期待する。経糸と緯糸ともにオーガニックシルクを使うが、品質や価格で使い分ける可能性もあるとした。

 環境対応では、製織で発生するシルク残糸の活用も始めている。残糸を原料メーカーが引き取り、絹紡糸に再生。その絹紡糸を使って生地を作る。今回展でも紹介した。

 明林繊維は、得意とする再生繊維の提案を軸とした。今回のテーマは「Energizing Time」とし、持続可能な原料を使った生地を紹介した。「新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せて以降、(人やモノの)動きが活発化している。顧客、来場者が『元気になる素材』を届ける」と強調した。

 光沢感のある生地やサテン系、プリントなどを打ち出したが、「2~10月が春夏シーズンと捉えている」とするなど、長い夏を意識した提案にも力を入れた。キュプラ繊維を使った生地に微起毛を施すなど、見た目は秋冬物ながら暑さに対応できる生地などを並べた。