繊維ニュース

環境配慮型提案で再構築

2023年11月20日 (月曜日)

 大和紡績は、環境配慮型の素材や取り組みによる総合提案戦略「エコフレンド」プロジェクトを再構築する。環境配慮型に位置付ける商品の販売は現状、売上高の10%に届いていないが、今後は底上げを図る。

「原料から製品まで一貫で対応できる強みを生かす」(福嶋一成取締役合繊・レーヨン事業統括)ことで環境配慮型素材や仕組み作りに力を入れる。

 同社は2008年に環境配慮型に沿った商品群を「エコフレンド」ブランドとして商標を取得。プロジェクトとして「環境負荷軽減」などをテーマに設定し、さまざまな開発を進めてきた。来期から3カ年の新中期経営計画が始まるに当たって、プロジェクトを再構築。レーヨン、ポリオレフィン系合成繊維といった原料から、さまざまな製品まで一貫で生産できる強みを生かし、次の成長の芽を育てる。

 特に輸出が多い化粧品や電機メーカーなどでは、欧米での高い環境配慮への意識に応えるため、部材や梱包(こんぽう)材などにも環境配慮型素材を使う傾向が高まっている。そうしたニーズを捉え、原料から差別化した素材の提案を強める。

 合繊ではバインダー繊維「ミラクルファイバーKK―PL」の採用が増加。芯部分にポリ乳酸(PLA)、鞘部分にポリブチレンサクシネート(PBS)を使った2層構造の生分解性の樹脂のみで構成された熱接着複合繊維で、一般的なバインダー繊維である芯部ポリエステル、鞘部ポリエチレンと類似した物性を保つ。化粧品会社からの関心が高く、幾つかの企業では採用に向けて試験に入った。

 レーヨンでは海水中生分解性の国際認証を取得している「エコロナ」や、撥水(はっすい)機能レーヨン「エコリペラス」、廃棄綿布を原料に再利用するリサイクルレーヨン「リコビス」の不織布用途への投入も加速。特にエコロナは梱包材としてのニーズが高く、「電機メーカーからの問い合わせが多い」と言う。一部の取引先では、プラスチックに変わる次世代の梱包緩衝材として打ち出す。

卵殻膜を繊維化へ

 大和紡績はグループのダイワボウレーヨンを通じて、ニワトリの卵殻膜の繊維化を進めている。これはファーマフーズによる国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「バイオものづくり革命推進事業」プロジェクトの一環で、共同研究として繊維化に取り組む。

 日本国内では年間263万㌧の鶏卵が利用され、それに伴い26万㌧の卵殻および卵殻膜が産業廃棄物として発生。うち卵殻膜が、約1万㌧含まれ、それを活用して繊維化する。卵殻膜加水分解物を再生セルロースと混錬して繊維化することで、カシミヤなど動物性繊維の物理性質に近付くという。