タビオ/自社栽培綿をブランド化/24年2月、阪急うめだ本店で初披露
2023年11月21日 (火曜日)
国産靴下を主力とするタビオは、奈良県広陵町を中心に点在する畑で栽培した綿花から取れたわたをブランドにする。自社で栽培・収穫したわたをメインに使った靴下、腹巻などを商品化し、2024年2月、阪急うめだ本店での催事で初披露する予定。
19日、タビオ奈良(奈良県広陵町)で、タビオグループ社員や関係者などを招いて、同社が栽培する綿花を収穫する恒例の催しがあり、それに合わせて、自社栽培した綿花を今後、「TABIO‘SCOTTON」(タビオズコットン)の名称でブランド化することを発表した。
越智勝寛タビオ社長も参加し、「綿花から最高の靴下を作りたいという、今は亡き会長(創業者の越智直正氏)の思いから始まった計画が10年以上かかって、ようやく一つの形となる。このプロジェクトに関わった多くの方々に深く感謝したい」とあいさつした。
同社が広陵町周辺で育てるタビオズコットンは品質の高い品種の一つとされるアメリカンシーアイランドコットンを原種とする綿花。わたの繊維長は35㍉で、最も長い超長綿に分類される。一般的なわたより繊維に光沢があり、吸水性も高いという。栽培に農薬や化学薬品を使わないため人体への安全性や環境負荷の低さも付加価値となる。
14年から約9年間、専門家の協力も得ながら、広陵町で独自の品種改良や栽培方法の改善を続け、品質向上や増産するための方法を研究してきた。栽培する畑は55カ所、総面積は5ヘクタールほど、東京ドーム約1個分の広さになる。収穫量は5トンだが、糸にできるのは1トンほどで、2万足分の靴下を作る必要量に相当するという。
自社栽培綿のブランド化の動きは、タビオの創業者であり、22年1月に急逝した越智直正氏の「最高の編みの技術と最高品質の綿花で世界一の靴下を作りたい」との思いからスタート。これまで試験的に自社栽培綿を使った靴下を商品化したこともあるが、継続性のある商品シリーズにはなっていなかった。
今回のブランド化を主導する栃真賀悠名ウェブ営業部長は「まずは今年、社内でブランドについて周知し、来年は綿花の収穫祭に地域からも参加を募り私たちの取り組みを知ってもらう。そして大阪・関西万博の25年には全国規模のイベントへスケールアップできれば」と抱負を語った。
わた摘み後に開かれた、トークショーでは栃真賀氏、タビオズコットンのロゴを制作した野老(ところ)朝雄氏、阿波藍染プロデューサーの永原レキ氏が登壇し、ブランド化プロジェクトに関わることになったそれぞれのきっかけ、思い、これからの抱負や期待を語った。