未来模索する商社繊維事業~4~9月期決算から~(1)

2023年11月27日 (月曜日)

利益改善進行に明暗

 商社の2023年4~9月期繊維事業決算は、総合・専門商社とメーカー系商社とで明暗が分かれた。表掲載の総合・専門商社の売上高は増収か横ばいで、営業利益については公表した6社が大幅な増益となった。一方、メーカー系商社は、増収増益だった旭化成アドバンス以外は減収で、利益面でも各社の苦戦が目立った。アパレル製品の需要回復という好材料が生まれながらも、事業を取り巻く環境の不透明さも見え隠れする。

 最大手の伊藤忠商事は、新型コロナウイルス禍の影響の軽減に伴い、小売りの市況が回復したことからアパレル関連事業の業績が堅調に推移し、大幅な営業増益となった。

 帝人フロンティアは、衣料繊維分野が北米や中国向けの生地・衣料品の販売が好調だった。産業資材分野は、水処理フィルター向けポリエステル短繊維などが業績に寄与した。

 豊田通商は、期初から繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「パッチワークス」を開始し、今後はその取り組みを強化して繊維事業の成長を図る。

 蝶理は、国内衣料品市場の回復需要を的確に取り込んだことが大幅な増益につながった。

 GSIクレオスは、ファイバーのインナー用機能糸・生地が順調だったほか、アウターもOEM/ODM取引が増加。インナーも増収で営業利益が黒字回復した。

 ヤギは、アパレル事業が業績向上をけん引し、ブランド・リテール事業も収益が改善したため増収増益となった。

 田村駒は、主力カジュアル販売先との取引拡大とオケージョン需要の回復により、衣料部門は増収だった。

 三共生興は、ファッション関連事業では婦人服ブランド「レオナール」の国内での店頭販売が好調に推移し、繊維関連事業でも新規取引先の開拓が進み、業績が伸びた。

 次回から、主要各社の詳細を伝える。