次の一手を求めて JFW―JC・PTJレビュー(10)/産地の特色を現代にアレンジ

2023年11月30日 (木曜日)

 「JFWジャパン・クリエーション」(JFW―JC)に出展した伊勢崎織物工業組合の下城は、地元群馬県伊勢崎市の伝統の絣(かすり)織物「銘仙」を、化学繊維で復刻した「MEISEN」(メイセン)シリーズを展開する。サステイナブル対応にも力を注ぎ、帝人フロンティア「エコペット」や伊藤忠商事の「レニュー」といった再生ポリエステル繊維の活用にも力を入れている。

 1896年に着物地を販売する買継商として創業した同社は、製造部門のシロテックス(自社工場)を開設し生地の製造も手掛けるようになった。現在は着物地から撤退しており、インテリア、資材用テキスタイルを主力とする。今回のJFW―JCでは、帝人フロンティアの防災素材「プルシェルター」使いの生地も発信した。

 高島織物工業協同組合は織布工場、染色加工場の8社でブースを組んだ。同産地は産地総合展「ビワタカシマ」を東京と大阪で開くことが恒例だったが、2019年からは東京展を、産地単独展よりも集客力のあるJFW―JCへの組合出展に切り替えた。ある織布工場で同展をきっかけに大手生地商社との取引が始まるなど成果も出ている。

 今回展は秋冬向けということで、坂尾織物がウール混の「高島ちぢみ」のバリエーションを訴求し、これまで織れなかった厚みのある帆布を設備の改良によって織ることに成功した駒田織布が各種帆布を披露するなどでバイヤーの注目を集めた。

 台湾の繊維産業連合会である紡拓会の会員企業、豊泰興業は、台中に本社工場を置くテキスタイルメーカー。再生糸を使った生地などサステ素材の提案に力を入れており、衣類のリサイクル事業にも取り組む。

 販売先の大半は欧米で、日本市場はほぼ未開拓だが、今後は供給先を増やしたいとしてJFW―JC出展を決めたという。担当者は「日本の企業との取引実績は、品質に対する評価につながり、大きな強みになる」と狙いを話した。今回の出展でも和紙糸で作る生地を提案に加えるなど、来場者にサステ素材の豊富な品ぞろえをアピールした。