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東レ 水滴除去の織・編み物開発

2023年12月01日 (金曜日)

 東レは、高い水滴除去性を持つ撥水(はっすい)ストレッチ織・編み物「デューエイト」を開発した。サイズの大きい凹凸の上に微細な凹凸を形成したマルチラフネス構造を取り入れ、PFAS(有機フッ素化合物)フリーで高機能化を実現した。

25春夏から紳士と婦人分野で販売を始め、25秋冬には海外市場にも広げる。

 ハスの葉やチョウの羽など、自然界に存在する素材の構造を取り入れた(生物模倣)。革新複合紡糸技術「ナノデザイン」によって繊維断面を精密に制御した新原糸と形態の異なる2種類のスパイラル構造を発現させる特殊高次加工技術によってマルチラフネス構造を再現した。

 生地表面に乗った水滴の下に複雑な空気の層ができるため、水滴が滑らかに転がる。洗濯50回後の水滴除去性(滑落角判定)は、水滴量(雨粒想定)65マイクロ㍑で滑落角18度以下を発揮し、20マイクロ㍑、5マイクロ㍑でも19~89度で滑落する。従来PET織物は20マイクロ㍑と5マイクロ㍑は滑落しない。

 雨の日でも肌離れの良いさらっとした着心地や適度なストレッチ性も特徴であるほか、微細な凹凸が光の反射を分散するため合繊特有のぎらつきを抑制する。ベースは石油由来のポリエステルを使用しているが、リサイクルやバイオ由来への置き換えも順次進めていきたいとしている。

 生地値は1㍍当たり千~1800円。アウターからボトムスまで幅広い用途に提案し、2025年度に20万㍍、27年度に50万㍍の販売を計画する。

 今日1日まで東京都千代田区の神田明神ホールで開催中の婦人・紳士衣料用テキスタイル展示会で紹介している。展示会では2次製品約100点、生地約155点を展示し、特殊異形中空糸を使った軽量ナイロン生地「トラセア」も新開発商品として提案している。