未来模索する商社繊維事業  4~9月期決算から (5)

2023年12月01日 (金曜日)

業績改善が進む

スポーツ用途は堅調 クラレトレーディング

 クラレトレーディングの2023年1~6月期連結決算は取扱高714億円(前年同期比3・9%減)、売上収益289億円(2・5%減)、営業利益22億9900万円(17・2%減)、経常利益24億100万円(12・2%減)、純利益16億7200万円(13・9%減)だった。

 繊維関連は取扱高204億円(7・6%減)、営業利益9億6500万円(12・2%減)。衣料分野は、製品がスポーツ中心に堅調に推移した。糸・生地もスポーツ・アウトドア向けが拡大し増収増益となった。ユニフォーム・ワークウエアは売上高、利益ともに苦戦した。資材分野はメディカル用途がコストアップで減益となった。そのほかの資材用途も土木を中心に需要が減退した。人工皮革「クラリーノ」は自動車向けが堅調。スポーツシューズや手袋向けは販売が減少した。

赤字を大幅縮小 ユニチカトレーディング

 ユニチカトレーディングの連結決算は売上高134億円(前年同期比2・2%減)、営業損失2億円(前年同期は7億円の損失)、経常損失1億円(同5億円の損失)、純損失1億円(同4億円の損失)だった。

 衣料繊維はユニフォーム分野の販売が回復し、原糸、婦人服地、寝装のいずれも堅調な販売となった。産業資材は海外が不調だった。価格改定を進め、販管費の削減などコスト削減にも取り組んだことと合わせて採算が改善傾向にあり、赤字幅を大幅に縮小。来期での黒字浮上にめどが立ちつつある。

不採算撤退で黒字へ 東洋紡せんい

 東洋紡せんいの単体決算は売上高127億円(前年同期比2・1%減)、営業利益4500万円(前年同期は2億4600万円の損失)、経常利益2億5900万円(同1億2300万円の損失)だった。採算面で原燃料高騰や為替変動の影響を受けたが、国内外工場の合理化、地道な価格改定に取り組み、価格転嫁が困難な不採算事業からは撤退したことで四半期決算としては5期ぶりに黒字転換した。

 スポーツ事業は差別化生地販売が堅調に推移し、不採算のOEM製品事業を縮小したことで増益となり改善したが、黒字化には至らなかった。マテリアル事業は調達改善によるコストダウンが奏功し減収増益。ユニフォーム事業は需要回復で増収増益となったが、一部製品の価格改定が遅れたことで黒字化には至らなかった。スクール事業はニット化の流れが追い風となり増収増益。輸出織物事業は市況回復と円安の好影響もあって増収となったが、原燃料高騰の影響で減益だった。

(おわり)