新たな日常への 挑 戦 北陸ヤーンフェア 2023レビュー

2023年12月04日 (月曜日)

入場者数30%増に

 糸の総合展示会「北陸ヤーンフェア2023」が11月14、15日に福井市で開かれた。今回のテーマは、「Re―activate~新たな日常への挑戦~」で、出展者数は65社・団体と過去最大の規模となった。新型コロナウイルス禍が落ち着き、久しぶりに入場制限のない開催となったが、来場者は2日間合計で3239人となり、昨年に比べて約30%増えた。

 合繊メーカーはサステイナブルをベースに、新たな提案を行った。東レは、リサイクルポリエステル/ナイロン「&+」(アンドプラス)や複合紡糸技術「ナノデザイン」を紹介した。ナノデザインでは、フィブリル感のある光沢などが特徴の「マイクロシルデュー」などが注目された。糸を販売する上で、ユーザーの商品開発までサポートしていく取り組みを強めており、ブースではナノデザインの糸を使って開発した生地も披露した。

 帝人フロンティアは、エコをベースにした差別化糸を中心に紹介した。再生ポリエステル「エコペット」を軸にさまざまな機能をそろえた。今回は旧東邦テキスタイルの紡績糸の提案も拡充し、バルキー性の高いわたを使った紡績糸「マーフィル」や吸湿発熱素材「サンバーナー」などを紹介した。

 旭化成アドバンスは、前回展に続いてジアセテートに焦点を絞った提案とし、ジアセテート長繊維「ナイア」、ジアセテート紡績糸「セルン」、ナイアの先染め糸の在庫を構えて見本帳展開する「アリア」などを紹介した。ナイアの販売量は引き続き堅調で、より環境負荷の低い製法で作られる「ナイアレニュー」への切り替えも進んでいる。

 セルンは風合いの柔らかさなどが評価され、セーターなどの用途で広がっている。ジアセテート100%から展開を始めたが、今回展ではジアセテート高混率を中心にシルク混、ウール混、カシミア混など混紡糸も充実した。アリアは林田(福井県坂井市)と組み、20色の先染め糸をストック販売する。今春から本格展開が始まり、利便性からも評価を得ている。

 ユニチカトレーディングはバイメタル構造のポリエステル伸縮糸「Z10」と新たに開発した「シルミードライ」を紹介した。ロングセラーのZ10は来年に50周年を迎え、全体の50%を再生ポリエステル化したタイプも好評を得た。

 シルミードライは、シルクのような風合いや落ち感が特徴。糸断面は形状が異なる複数の三角形で構成する「ヴァリアス断面」で高い吸水性を実現した。会場ではGSIクレオスのブースでもカジナイロンで仮撚り加工したシルミードライを紹介していた。

 KBセーレンは、サステ糸や機能糸を中心に提案した。商品の実展示はなかったが、ブースではサステ糸の新商品として「クーセーブ」を紹介した。分散染料で常圧での染色が可能なポリエステルで、ポリマー改質で以前に展開していた商品よりも染色堅ろう度などの性能を向上させた。