新たな日常への 挑 戦~北陸ヤーンフェア 2023レビュー~

2023年12月05日 (火曜日)

グループ連携の提案も

 蝶理は循環型リサイクル「ビール―プ」やリサイクルナイロン「ブルーニー」などサステイナブル糸の提案を強化するとともに、新商品として機能紡績糸「スパンラボ」を紹介した。特殊なポリエステル短繊維を使った紡績糸をそろえ、高バルキー性や吸水速乾などの特徴を持つ原綿を使った糸を展開する。近年は再生ポリエステル「エコブルー」、高伸縮糸「テックスブリッド」、ピン仮撚り糸「SPX」など長繊維を中心に独自糸の販売を伸ばしているが、スパンラボで紡績糸の拡大も狙う。

 天然繊維に強いSTXと協業しながら拡大していく考えで、今回展ではSTXもスパンラボを訴求した。ブースではスパンラボで作ったTシャツなどを紹介した。

 東洋紡せんいは、原糸販売グループ(G)、インナーG、御幸毛織が共同出展した。サステ糸ではリサイクルナイロン「ループロン」、リサイクル綿糸「さいくるこっと」などを紹介した。特に注目されたのが、顧客の要望に沿って紡績糸を受託生産する「TODM」(トドム)。長短複合を含め、天然繊維から化学繊維まで素材を問わずさまざまな糸種に対応する。長短複合糸やコンパクト糸、渦流紡績糸、リング糸など紡績法も幅広く、オリジナルの糸が作れる仕組みとして好評を得た。

 御幸毛織は3回目の出展で、ウールの用途開拓として紳士服以外への提案を続けている。今回はウールとポリエステルの長短複合糸「マナード」などを紹介したが、特に和紙と撚糸したマナードや伊藤忠商事の再生ポリエステル「レニュー」を使った「マナードCP」が注目された。ウールの用途拡大にも手応えをつかみ、婦人やインナー、スポーツなどでニーズが高まっていると言う。

 シキボウと新内外綿は共同出展し、それぞれの得意技術を融合した「フィスコ×アートコット」「ERC」などを提案した。「フィスコ×アートコット」は生地染めで杢(もく)糸使いのような表情を出せる新内外綿の「アートコット」を連続シルケットすることで新しい表情を持たせた。「ERC」は1970~80年代のアメリカンテキスタイルをイメージしたポリエステル・レーヨン・綿の三者混糸。ポリエステル部分にシキボウとユニチカトレーディングが共同展開する生分解性ポリエステル「ビオグランデ」を使っている。

 クラボウとクラボウインターナショナルは壁をなくした一体型のブースを構え、クラボウインターナショナルはコラーゲン配合レーヨン「ルナセル」を紹介した。今回展ではルナセルの機能性に加え、実際に土に埋めて検証したサンプルを展示し、生分解性の高さを訴求した。

 クラボウは今回が初出展。顧客の要望に幅広く応じ、さまざまな素材を組み合わせた紡績糸を作る体制を訴求した。染色加工の徳島工場は綿使いを得意とするが、足元ではポリエステル100%への加工も強化している。