繊維ニュース

帝人フロンティア  ポリエステルとナイロン融合

2023年12月08日 (金曜日)

 帝人フロンティアは、単糸レベルでポリエステル長繊維とナイロン長繊維を混繊した特殊複合織・編み物「ミクセルNP」を開発した。ポリエステルとナイロンの特性や質感、機能を融合することに成功した。

25春夏スポーツ・アウトドア向けから販売を開始し、インナーやファッション分野にも幅広く提案する。26年度には50万㍍の販売を目指す。

 ポリエステルとナイロンはいずれもスポーツ素材で広く使われる繊維だが、物性が大きく異なる。ポリエステルは糸・生地での加工が容易なことから吸汗速乾性や撥水(はっすい)性、ストレッチなどさまざまな機能を実現できる一方、ナイロンは耐摩耗性や発色性、吸湿・冷感性、風合いに優れる。このため商品が求める物性に応じて採用がすみ分けられている。

 一方、近年はスポーツ・アウトドアとライフスタイルが融合したファッションスタイルが拡大しており、優れた機能性と新しい外観・質感を持つ素材へのニーズは高い。これを受けて帝人フロンティアは従来とは異なる高質感・高機能を実現するためにポリエステルとナイロンの質感と機能を融合したミクセルNPを開発した。

 ポリエステルとナイロンの複合素材は従来、交織・交編によるものか糸加工段階で混繊した原糸を使うものが一般的だった。しかし、通常のフィラメント単位での複合では質感や機能面での融合は難しかった。

 これに対して同社は紡糸工程でポリエステルとナイロンを混合することで単糸単位で二つの繊維が均一に混在する特殊異形断面マルチフィラメント糸を開発し、これを最適な条件で織編構造体とすることでミクセルNPの開発に成功した。

 ミクセルNPは吸水速乾性や撥水性はポリエステルと同等の機能性を発現させながら、ナイロン由来の耐摩耗性や発色性を併せ持つ。また、ポリエステルとナイロンを染め分けることでシャンブレー調の見た目となり、単色で染めても両繊維の染着差から深みのある色調になるなど優れた外観を実現できる。原糸は緩やかなV字断面のためかさ高性やスパン調の風合いも併せ持つ。

 従来とは全く異なる特殊複合織・編み物として、ポリエステルとナイロンがそれぞれ別個に得意としてきた商品コンセプトに向けて新たな付加価値のある生地として提案できる。スポーツ・アウトドア向けの重点プロモート素材として国内外で販売拡大を目指す。