新たな日常への 挑 戦 北陸ヤーンフェア 2023レビュー(5)

2023年12月08日 (金曜日)

サステの取り組みに注目

今回展ではサステイナビリティーをベースにした機能糸の提案が進んだほか、企業としてのサステへの取り組みにも注目が集まった。

 増井は9月にウズベキスタンで開設した教育支援プロジェクト「サマルカンダリア・ジャパンアカデミー」を紹介し、注目を集めた。現地の子供たちが日本語と日本文化を無料で学べる取り組みで、ウズベキスタン綿糸「サマルカンダリア」を展開する中で始まった。展示した商品の中では、レーヨン長繊維とナイロン長繊維の混繊糸「アイスインパクト」が好評を得た。北陸ヤーンフェアにはこれまでも出品していたが、今回は特に高い関心を集めて具体的な商談もあった。

 豊島のブースには北陸だけでなく、尾州、関西からの来場者もあり「どこも新しい糸を探していると感じた」と言う。注目された商品の一つが和紙糸「WAGAMI」で、ポリエステルなど他素材との撚糸によってコストを抑えた商品もそろえた。会場では化合繊の提案が多い中で、真新しい素材として関心を集めたとみる。そのほかでは親水性ナイロン冷却長繊維糸「オプティマクール」なども好評を得た。北陸ヤーンフェアは素材販売だけでなく新しい出会いの場としても重視しており、これまでの出展を通じて新規顧客開拓に結び付けている。

 ヤギは長短複合を含めて新しい需要を探るため、綿糸と合繊長繊維の双方を提案した。サステをベースに豊富な品ぞろえを訴求し、サステへの取り組み「ヤギシカル」を紹介しながら、綿糸はオーガニック綿糸の総合ブランド「ユナ・イト オーガニック」や再生合繊糸の総合ブランド「ナチュリール」などを訴求した。

 モリリンはエコをベースに機能性などの付加価値を加えた提案に力を入れた。ブースは初日から多くが来場し、「テンセル」×ポリエステルで紫外線遮蔽(しゃへい)効果を持つ「エクールサン」や再生マイクロポリエステルを使って柔らかな風合いを持たせた「エムプラス」などが人気を集めた。

 GSIクレオスは、ユニチカトレーディングの「シルミードライ」をカジナイロンで仮撚り加工した商品を訴求した。ブースでは機能性を訴求する商品が人気で、耐切創性の高い高強力ポリエチレン「タフテックス」、6マイクロ㍍のポリエステルフィルムを使って柔らかな風合いを持つ「神鹿」などが注目された。

 特殊ミシン糸製造の永井撚糸(大阪市西区)は、ペットボトル再生繊維による高強力ミシン糸「ビニモリサイクル」を初披露した。そのほかでは原着糸「N―シリーズ」も関心が高かった。ミシン糸の原着糸は他にはなく、「原着糸のニーズが高まっていると感じている」と言う。ブースへの訪問は北陸の機業場が多かったが、原着糸はネームなどの刺しゅうに活用したいとの声もあった。ミシン糸以外では環境配慮型レザー「バイオ・ビーガン・レザー」も好評を得た。