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東レ スポーツ・衣料資材事業部 ニット用途に伸び代

2023年12月13日 (水曜日)

 東レのスポーツ・衣料資材事業部は、ニットの強化を重点施策の一つに掲げる。スポーツ分野ではニットアイテムの市場規模が大きく、織物販売が中心の同事業部にとって伸び代が大きいとみる。

。大塚潤スポーツ・衣料資材事業部長は「面白い素材が多く、積極提案する」と話す。

 ニットは日本を含むグローバルで提案強化を図っており、このほどドイツのミュンヘンで開催された国際スポーツ用品専門見本市「ISPOミュンヘン2023」でも重点訴求。防湿透水の「ダーミザクス」と並んでメインで打ち出したのが「カルイシ」だ。見本市での評価も高かった。

 改造した設備で編み立てており、編み地の中に入る空気の量が多いという。これによって軽量感と保温性を付与しているほか、耐摩耗性といった強さも兼ね備える。繊維が抜けにくいのも特徴で、海洋汚染の原因の一つとされるマイクロプラスチック問題にも対応する。

 ローゲージでの編み立てが中心となるが、幅広いゲージで生産する。アウトドアウエアやスキーウエアの中に着用するミドラーやアウター用途で提案するほか、インナー用途にも投入する。生産キャパシティーが限られ、拡販に当たって北陸産地の企業との連携を深化も図る。

 ニットでは高度な汗処理性能を持つ吸汗速乾の「フィールドセンサー秒乾」をはじめとする特徴のある素材の販売も強化する。

 同事業部の2023年度(24年3月期)は増収を見込んでいる。「合繊テキスタイルの需要は伸びている。この需要をつかむ」(大塚スポーツ・衣料資材事業部長)とし、進行中の中期経営課題の3カ年でも確実な成長を目指す。