新たな日常への 挑 戦 北陸ヤーンフェア 2023レビュー(7)

2023年12月13日 (水曜日)

検査機関や染色関連も出展

 北陸ヤーンフェアでは糸周辺の出展も増えている。検査機関ではボーケン品質評価機構が昨年に引き続き出展した。初出展の昨年はサステイナブル関連の認証を中心に紹介したが、今回は名古屋事業所が主体となり、検査・評価方法を中心に紹介した。

 ブースでは実験器具も用意して来場者に分かりやすく説明。新しい評価方法では、ユニチカガーメンテックと共同開発した気化冷却性試験を紹介した。従来のQ―maxとは異なる評価方法で、注目を集めた。マイクロプラスチックの評価方法も紹介した。国際NPOのザ・マイクロファイバー・コンソーシアムの認定機関になっており、繊維くずの測定試験などを紹介した。

 繊維加工剤では日華化学と高松油脂が出展した。日華化学はサステ商品を中心に紹介。非フッ素系撥水(はっすい)剤では、アンチウィック(浸み込み防止)性に特化したタイプが好評を得た。従来の撥水剤は長時間にわたって水に濡れると充分な撥水効果を発現できなかったが、その課題を解消した。このほか、ポリエステルRC(還元洗浄)工程の排水回数を低減する加工処方の提案にも力を入れた。

 高松油脂は染色同浴、RC同浴で加工できるポリエステル柔軟剤や吸水SR(ソイルリリース)剤などが好評を得たほか、オリゴマー分散剤の提案にも力を入れた。

 染色では廣島織染協同組合(広島県福山市)が初出展した。愛知県一宮市で開催されるジャパンヤーンフェアに出展して顧客開拓を進めており、新たな需要を探るために北陸ヤーンフェアへの参加を決めた。ブースでは主力の硫化染料による糸染めを中心に紹介した。硫化染料は2年前に大手の旭染料製造が撤退したが、代替染料での技術を確立し、リピートにも対応する。ブースでは合繊への対応としてビニロンの硫化染めも訴求した。

 サステナテック(福井市)は、水を使わず二酸化炭素で染める超臨界染色の試験と機能加工試験機「サステイナ・ダイ―ミニ」の実機を展示した。超臨界染色で要望が強かった調色試験に対応した設備。既に台湾企業が第1号機を導入した。超臨界CO2精練・染色・後加工の試験ができる。3ポットタイプ(1ポット=400CC)なら異なる条件で染色が可能。

 精練から染色、後加工までを可能とする開発は着実に進んでいる。機能加工は撥水や防炎、抗菌、ポリエステルの親水化などを可能とした。染色はポリエステルだけでなくポリプロピレンも可能としており、綿での開発も進めている。