繊維ニュース

色分けで組織活性化

2023年12月20日 (水曜日)

 水道配管継手など機材メーカーのオーミヤ(大阪府東大阪市)は、来年からオリジナルブランドのワークウエア「カラフルファクトリー」の販売に乗り出す。

4種類のカラフルなカラーのウエアは色ごとにチーム名や役割を設定。これを企業、工場内で着用し「部署を超え色単位でマトリクス組織を作る」(道野弘樹社長)ことで組織の活性化を促す新たなコンセプトで訴求。導入企業に対し経営コンサルティングのサービスも提供する。

 同社は水道配管継手や農業用資材などを製造販売。青銅製の水道配管継手では市場で50%前後のトップシェアを誇ると言う。同社が立地する東大阪市や隣接の八尾市では中小の製造業が集まるが、人手不足で事業縮小に陥る企業が多く、「課題解決につながる」(道野社長)アイテムの開発に着目。2020年から肩サポーター、疲労軽減マットなどワーキングサプライブランド「プラスワン」の販売を始めた。

 プラスワンの商品を自社で活用するとともに、工場そのものを“カラフルファクトリー”としてポップなデザインにし明るい雰囲気にすることで「人が集まる仕組み」を模索。人材の定着・募集で一定の成果を挙げる中、ユニフォーム開発の必要性も感じていた。

 そこで今年4月に大阪文化服装学院の学生を対象にコンペを開催し、デザインを選定。10月には「ツールジャパン」に出展、300社と名刺交換し、うち「3%が導入への関心を示した」と言う。

 ウエアは青、赤、緑、黄の4種類。「薄暗いイメージのある工場を、人が集まる場所へ変える」カラフルなデザインを意識した。社員がどの色のウエアを着用するかを抽選で決めるなどイベント化することによって、社内交流の糸口を作る。新卒や中途に関わらず入社時にイベントをすれば「社内に溶け込めるきっかけにもなる」。導入企業には抽選箱も提供する。

 部署ではなく色という所属によって、縦割り組織に見られがちな他部署とのコミュニケーション不足の弊害を低減。色ごとのチーム名や役割で、異なる組織形態の利点を掛け合わせたマトリクス組織の形成を支援する。自社では11月から着用している。

 素材には帝人フロンティアの再生ポリエステル「エコペット」を使い環境配慮をうたえるほか、静電気防止対応。ジャケットの価格は1万1千円。パンツは、ジャケットのどの色とも合わせやすいベージュの1色のみ(1万1千円)。ポロシャツも商品化し4月ごろに発売を目指す。オフィスと現場を行き来する女性のための樹脂先芯入りワークシューズ「ゲンバブーシュ」は既に販売を始めた。

 導入企業に対し求人や会社イメージ向上といったコンサルティングサービスも提供。初年度は10社、5年後には100社への導入を目標にする。道野社長は「カラフルファクトリーに変えるのは一つのきっかけに過ぎないが、それが全てを変えるきっかけになっていけば」と話す。