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クラレ/安全・リスク管理強化/米子会社の火災事故検証

2023年12月20日 (水曜日)

 クラレの川原仁社長は18日に会見し、米国子会社のクラレアメリカのエバール工場で2018年5月19日に発生した火災事故に関する検証結果と今後の安全管理・リスク管理体制の強化について発表した。

 火災事故はエバール工場第2系列の重合工程付近で発生し、外注作業員23人が被災した。定期修繕作業中だったため現場には多くの外注作業員がおり、事故後に164人から34件の訴訟が提起された。このほど和解金総額約800億円を支払うことで訴訟は全て解決した。訴訟が解決したこと受け、事故検証結果と再発防止策、今後の安全・リスク管理体制の強化策を改めて発表した。

 川原社長は「グループ全体の安全管理・リスク管理体制を強化するために技術面では『Man(人的対策)』『Machine(設備的対策)』『management(管理的対策)』の『3M』の観点から対策を策定した」と強調する。

 人的対策として22年にグローバルPSM(プロセス・セーフティー・マネージメント)監査チームを新設し、環境安全センター担当役員をトップとする海外化学プラント保安リスク対応チームや、海外グループ会社が連携することで生産部署から独立した安全管理体制を強化した。

 設備的対策として工場入場管理と避難警報基準の整備、安全装置の自動化や信頼性向上に取り組む。管理的対策として安全状態追跡型KPI(重要管理指標)の導入などを進める。

 また、ガバナンス面での対策も導入する。現在、環境安全センター主導で監査体制構築などを進めており、こうした取り組みは検討中のエバール新工場の安全システム構築にも活用する。