新春アンケート どうなる2024年の繊維産業(1)

2024年01月05日 (金曜日)

〈原材料価格は?/「上がる」が71%で最多〉

 設問の二つ目は、「繊維製品の原材料価格はどうなるか」。最多の71%を占めたのは「上がる」だった。1年前の前回調査では「上がる」が62%だったが、今回は増えた。

 「上がる」と答えた理由としては、「もう既に来年分(24年分)の値上げ(の通知が)来ている。生地、副資材など値上げが止まらない。為替予測がつかないが、さらに円安に向かう可能性もあるので」(アイトス)、「円安の影響」(クラボウインターナショナル)、「円安による為替影響」(グンゼ)、「円安と資源価格は現在の基調が継続」(三陽商会)、「円安の是正には時間がかかり、輸入コストは高いまま推移する」(セーレン)、「円安や燃料費高騰で原材料価格の上昇は継続する」(そごう・西武)など、円安に起因して原材料価格がさらに上がるという予測が多かった。

 また、「輸送費の高騰が予想される」(東レ)、「物流2024年問題に伴い、物流関連費用が増加する」(東海染工)、「運送コスト増の影響」(AOKI)、「物流2024年問題などを主因としてコストが上昇する」(東レインターナショナル)など物流費の高騰が原材料価格上昇の理由になるとの意見も目立った。

 そのほか、人件費アップや賃金上昇、ASEANの労務費上昇、サステイナビリティー要素の取り込み・トレーサビリティー認証コストの盛り込みといった現象も理由として上がった。

 「下がる」と回答した中には、「若干の円安是正により輸入原料価格がダウン」(旭化成アドバンス)、「円安是正の動きが顕在化すれば原材料調達価格の低下が期待できる」(小松マテーレ)、「円高方向に進むと考えているので」(ナストーコーポレーション)、「これ以上上昇する要素はない。むしろ円高に反転し下落する可能性がある」(ユニオン工業)など円高に振れるからという意見も見られた。

〈拡大する小売り業態は?/首位は今年もネット通販〉

 設問の三つ目は「拡大する小売り業態は?」。これまでの調査と同様、今年も1位にはネット通販が選ばれた。前々回、前回と2位だったSPAは3位に後退し、前々回5位、前回3位だった百貨店が2位に浮上した。前々回16票で4位、前回8票で6位だったカタログ通販は今回も票を減らし、4票の6位だった。コロナ禍で高まったカタログ通販の需要が落ち着いてきていることがこの結果からも分かる。

 ネット通販がさらに拡大するという答えの中には、「ネットで購入した経験のない人がコロナ禍で利用。それが継続する傾向にあり、ここ数年でネット通販人口が増えた。また『良いものをより安く、賢く買い物する』人が増え、レビュー参照もできるネット通販がさらに拡大する」(はるやまホールディングス)、「独自性の高いサイトを中心にさらなる普及で需要が継続する」(三越伊勢丹ホールディングス)、「ブランドECを含むSNSからの販売拡大」(モリトアパレル)、「価格に敏感な若年層が比較購買できるネット通販での購買機会をより増やしていく」(バロックジャパンリミテッド)などの意見が見られた。

 2位に浮上した百貨店については、「インバウンドのコロナ禍明けの回復が進む」(ソトー)、「外国人観光者が確実に増えていく中、海外ハイブランドが売れる」(双日)、「インバウンド需要がさらに回復するため」(三起商行)、「インバウンドによる高額品の購入」(森菊)、「インバウンド消費の復活」(タキヒヨー)などインバウンドの増加を理由に挙げる声が圧倒的だった。

 3位のSPAについては、「『付加価値があれば価格は二の次』という流れから、『良いものを適価で』という流れに変わりつつあると感じている」(オッジ・インターナショナル)、「品質、価格面で高いパフォーマンスを持つグローバルSPAが引き続き消費者から支持される」(三共生興)などが理由に上がった。