新春アンケート どうなる2024年の繊維産業(4)

2024年01月05日 (金曜日)

〈海外販売を拡大するか?/依然、隣国中国がトップ〉

 「海外販売を拡大するか?」の問いには、76%が「する」と回答した。前回の79%からはやや下がった。「しない」と回答した企業の多くは受託加工に徹する工場がほとんどであり、自販機能を持つ繊維企業の大半は海外販売(輸出、内販、第三国向け)を拡大させる方針をとっている。以前は拡大方針だったが24年は拡大しない、という回答は見当たらなかった。円安も手伝って、それほど日本の繊維企業の海外販売拡大志向は強い。素材メーカーや大手商社などの多くは、全ての選択肢に「〇」を付けるなどあらゆる国・地域で拡大を図るとしている。

 拡大させる際の国・地域の1位は前回と同じく中国だった。生産・調達先では票数が減り順位も落としたが、販売先という点では依然人気が高い。2位の米国と3位の欧州連合(EU)は前回から順位が入れ替わった。

 中国を選んだ理由は、「富裕層を取り込みたい」(三起商行)、「世界最大のマーケットだから」(サンコロナ小田)、「レッグウエアにおいて中国と米国は電子商取引(EC)比率が高く有利」(岡本)、「付加価値商品を販売するのに適している」(ナイガイ)といったものだった。

 僅差で2位となった米国には、「欧米ハイブランドの業績が好調なため」(タキヒヨー)、「店舗もオープンしており、認知度アップを引き続き行う」(西川)、「市場規模」(ユニチカなど)といった理由が上がった。

 ロシア・ウクライナ戦争の影響も受けて市況が芳しくないEUについては、「ブランドの業績が回復していくはず」(モリトアパレル)、「日本製生地の品質やスペックを理解している欧米の需要が回復していくと見込むため」(澤村)、「欧州での売り上げはまだまだ少なく、伸ばせる可能性が高い」(ワコールホールディングス)といった声が上がった。

 4位のベトナムについては、地産地消の流れが強まり、富裕層も生まれている中で、現地ブランド向けへの生地・製品納入を拡大させようという機運が高まっている。

 生産・調達でも票を増やしたインドは販売先としても注目を集め、7位に食い込んだ。「人口ボーナスもあり繊維製品の需要拡大が期待される」(クラレ)、「アパレル向けだけでなく手芸市場も広がりつつあるため」(コッカ)などがその理由。