繊維ニュース

東レ/高弾性と強度を両立/炭素繊維の新製品販売へ

2024年01月15日 (月曜日)

 東レは、高弾性率を維持しながら強度を約20%高めた炭素繊維「トレカM46X」を開発した。炭素繊維複合材料(CFRP)の軽量化を通して環境負荷低減への貢献が期待でき、釣りざおや自転車、ゴルフシャフトなどのスポーツ用途をはじめとする幅広い分野に提案する。2024年度に販売を始める。

 炭素繊維の弾性率と強度はトレードオフの関係にあり、この二つを両立することは難しいといわれている。特に弾性率が350ギガパスカル(GPa)以上の炭素繊維では、高い弾性率を保ったまま強度を上げることは技術難易度が高い。同社は弾性率と強度を両立したMXシリーズを開発・投入し、市場ニーズに応えてきた。

 同シリーズで培った繊維内部の黒鉛結晶構造と配向性を制御する技術の追求がトレカM46Xの開発につながった。黒鉛結晶構造を超微細かつ超高配向にナノレベルで制御することで、従来と同等の弾性率を維持したまま強度を20%以上高めることに成功した。

 微細構造制御技術「ナノアロイ」をマトリックス樹脂に適用したトレカM46Xプリプレグも同時展開する。圧縮強度が大幅に向上し、部材への強度を維持したまま高剛性化が可能になり、製品の軽量化や設計自由度の広がりが期待できる。