ユニフォーム最前線 担当者に聞く 23/24(12)チクマ ユニフォーム事業部 大阪販売部長兼大阪販売部販売一課長 岡野 雅明 氏
2024年01月26日 (金曜日)
独自の提案さらに発展へ
――ユニフォーム事業部の前期(2023年11月期)を振り返ると。
資材の高騰や縫製の加工料金の上昇、円安の進行によって、厳しい状況にありました。しかし、全事業領域でコストアップに対する理解を得られたことに加え、新型コロナウイルス禍が落ち着き人流回復に伴い、ユニフォーム市場の活性化を実感することができました。
分野別で見ると、官需分野では小ロット対応が多くなり、縫製環境の厳しさが増しています。予算削減の傾向も続いていますが、夏場の酷暑を受け、官公庁向けに帝人とマキタと協業する2層構造式の電動ファン(EF)付きウエア「チクマノスマファ」を提案するなど、酷暑対策商品の販売に力を入れつつあります。また、消防服ではOEM製品の受注を拡大しており、官需全体では微減収だったものの、売上総利益は微増になりそうです。
民需分野では交通や自動車ディーラー、ホテルなど別注ユニフォームの受注が底堅く推移し、増収増益でした。
アパレルODM分野では半導体や医薬領域が堅調であるとともに、警備や交通、サービス領域の積極的投資を受けて増収増益となりました。
ユニフォーム事業部全体の売上高は前の期比7%増の79億円になる見通しです。
――今期(24年11月期)の方針は。
今期も引き続き増収増益を計画し、売上高では80億円超を目指していきます。特に力を入れるのは酷暑対策素材や商品の提案です。昨年は異常に暑かったこともあり、民需だけでなく、官需へもEFウエアを広げます。
消防服市場では予算削減に加え、気候変動も相まって、消防本部や消防団で活動服のオールシーズン化を検討する動きが活発になっています。素材メーカーと新素材の提案を強化し、仕様面でも機能性や快適性を重視した製品の開発を進めます。
また、市町村の中にはSDGs(持続可能な開発目標)に関連した取り組みを強める傾向にあります。当社では古着を回収しリサイクルするシステム「チクマノループ」を活用した取り組みに力を入れています。最近では埼玉県の春日部市消防本部と連携し、消防服のリサイクルを始めました。自動車内装材などに再生することで、環境負荷への低減につなげることができます。
――前期にはマーケティング課を設置しました。
新たな領域に対する情報を収集し商品開発や営業に生かしつつあるとともに、顧客のさらなる利便性向上につながる、商品管理システムの提案なども強めています。チクマノループをはじめ、われわれだからこそできる提案をさらに発展させていきます。(おわり)