繊維ニュース

23年の化繊生産/前年比8.3%減/合繊は2桁%超え減少

2024年01月26日 (金曜日)

 日本化学繊維協会のまとめによると、2023年の化学繊維生産は67万5840トン(前年比8・3%減)、うち合繊は51万5323トン(11・9%減)だった。化繊全体で減少しており、特に合繊は2桁%を超える大幅減少となるなど市況が低迷したことをうかがわせる。

 主要合繊では三菱ケミカルグループが3月末で生産を停止したアクリル短繊維が8万2265トン(12・1%減)にとどまったことを別にしても、そのほかの品種が軒並み前年を大きく下回った。特にポリエステル短繊維は6万651トン(14・6%減)にとどまるなど輸入わたとの競争が激化した影響が大きく出た。

 ナイロン長繊維は6万8735トン(4・7%減)、ポリエステル長繊維は8万4476トン(12・3%減)とこちらも前年を大きく下回る。資材用途などは安定しているものの、スポーツ・アウトドア用途は22年までの活況の反動で需要が鈍っている影響が色濃い。

 一方、セルロース系化学繊維は16万517トン(5・8%増)と前年を上回った。資材用途で底堅い需要があるほか、世界的にサステイナブル素材への需要が高まる中で天然由来や生分解性を持つといった特性への注目が高まっている。

 23年12月末段階での在庫は化繊総計が前月比4・4%減の10万6151トン、うち合繊は同6・5%減の7万6034トンとなった。前年同月比では化繊総計は8・5%増、合繊は同0・1%増となる。合繊は在庫の増加傾向も一服しており、需給バランスは徐々に適正化しつつある。

〈12月単月は10・3%減〉

 12月単月の化学繊維生産は5万1135トン(前年同月比10・3%減)、うち合繊は4万235トン(9・1%減)だった。

 主要合繊ではポリエステル短繊維が4301トン(21・2%減)と大幅減少したほか、ポリエステル長繊維も6986トン(12・7%減)にとどまった。ナイロン長繊維は6060トン(4・2%減)とこちらも勢いがない。堅調だったセルロース系化繊も1万900トン(11・9%減)と前年を下回っており一服感がある。