特集 24春夏オフィス・サービスウエア(1)/循環経済へ関心高まる~2024年商況と動向を予測~

2024年01月31日 (水曜日)

 オフィス・サービスウエア24春夏は、4年半ぶりに新型コロナウイルス禍の影響をほぼ受けない中での商戦となる。インバウンドをはじめとする人流の回復によって、飲食、ホテルなど接客業向けユニフォームの需要が急伸する一方、オフィスウエアは復調のきっかけをつかみたいところだ。他方、ユニフォーム業界でもサーキュラーエコノミー(循環経済)への関心がますます高まっている。

 本紙はオフィス・サービスウエアメーカー主要20社への取材とアンケートを実施した。24春夏商況見通し)は、前年同期比10%以上の「大幅増収」を示す企業は3社、「増収」10社、「前年並み」6社、「見通し立たず」1社となった。

 けん引するのはやはりサービスウエアだ。人流回復にインバウンド消費が加わったことで、観光や飲食、レジャーをはじめとする幅広いサービス産業が恩恵を受けており、ひいてはユニフォーム需要を間接的に押し上げる要因となっている。

 ただ、好調なサービス業向けウエアにおいても前年同期ほど受注と納品件数の伸びに勢いが見られないとの声も出ている。懸念材料の一つとなっているのが現場の人手不足だ。そのため、増収基調であることに変わりないが、全体的な伸び率は鈍化するとみられる。

 一方、オフィスウエアは、金融機関をはじめとする制服廃止の流れが重くのしかかる。状況を打破するための施策として、接客要素を高めたデザインやジェンダーレス対応の男女ペア企画など、各メーカーで新たなニーズを探る動きが活発化してきた。

〈価格改定に一服感〉

 昨年来続いてきた原燃料の高騰や急速な円安に伴う価格改定の動きがようやく落ち着いてきた。

 24春夏では過半数の11社が価格改定を見送った。原材料価格や為替動向を見極めるための「検討中」3社、製品を限定して価格改定を実施するメーカーが6社となった。このうち価格改定対象製品の品番割合は「30%未満」5社、「50~70%未満」1社。平均値上げ幅は、「5%未満の値上げ」「5~10%未満の値上げ」各1社、「10~15%未満の値上げ」4社となっている。

〈資源循環の取り組み注視〉

 24年の動向として注視している分野は、「環境配慮素材の採用」が最も多く14社、次ぐ「資源循環システムの構築」12社と抜きん出ており、循環経済へのシフトが関心を集めていることが分かった。サステイナビリティーへの対応と合わせ、企業としてのスタンスを明確にしておかなければならない時期に入ったようだ。

 資源循環システム構築に向けて、具体的にどのような取り組みが必要となってくるかについては、環境配慮素材の採用や使用済みユニフォームの回収フロー、マテリアル・ケミカルリサイクルフローの構築などが挙がり、中には既に着手しているメーカーもある。ただ資源循環システムの要となるケミカルリサイクルへの取り組みとなると、個社の対応では難しく、今後は異業種を含めた連携や協業が広まる可能性がある。

 他方、ユーザー企業側においても使用済みユニフォームの回収コストの負担など、資源循環システム構築のための意識改革が求められる。

=アンケート協力企業=

 アイトス、明石スクールユニフォームカンパニー、アルトコーポレーション、エムズ、カーシーカシマ、ガードナー、KAZEN WLD、国立、サーヴォ、ジョア、神馬本店、住商モンブラン、セロリー、チクマ、ツカモトコーポレーション、ハネクトーン早川、フォーク、ボストン商会、ボンマックス、ヤギコーポレーション(五十音順)