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化学防護服・保護服 高度化などで市場活発に

2024年02月05日 (月曜日)

 化学防護服・保護服市場が活発化しそうだ。製品の高度化(機能付与)によって需要の取り込みを目指す企業があるほか、新規参入の動きも見られる。防護服に使用している基布の多用途展開を強化する企業の姿もある。化学防護服・保護服は市場規模拡大が見込まれているが、各社の取り組みがそれを加速する可能性がある。

 このほど東京ビッグサイトで開催された素材関連展示会。繊維に限らず、多種多様な業種の企業が一堂に会し、それぞれの角度から素材の紹介が行われた。繊維関連の打ち出しで目を引いた素材・製品の一つが化学防護服・保護服で、数社が製品を提案した。

 東レは、「nano tech2024(第23回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」で新規抗ウイルス粒子「ナノセリア」を展示した。ナノセリアの水分散液は新型コロナウイルスを99・99%不活化(第三者機関で試験)するなど、高い性能を誇る。

 このナノセリア水分散液を使い切り化学防護服・保護服の「LIVMOA」(リブモア)に応用する。インフルエンザウイルスに対する不活化率は99・9%を示し、ウイルスバリア性はクラス3をクリアする。「2024年度(25年3月期)に販売を開始したい」としている。

 前田工繊は、自社製の化学防護服・保護服の販売に乗り出す。「新機能性材料展2024」の日本不織布協会のブースに出展し、タイプ5の化学防護服(浮遊固体粉じん防護用密閉服)を披露した。ベースの基布は3層構造のポリプロピレンスパンボンド(PPSB)不織布を使用し、真ん中に極細糸使ったPPSB不織布を配する。

 自社工場で基布を生産し、縫製も国内で行うなど日本製を前面に打ち出す。「海外からの輸入品はサイズが大きい場合も多いが、パターン設計にもこだわり、日本人の体形にあったサイズ展開とする」。24~25年の販売開始を目指す。BtoBのほか、BtoCの展開も検討する。

 フラッシュ紡糸不織布「タイベック」を使った防護服を販売する旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツは、新機能性材料展2024に初出展した。軽さや強度、通気性などを持つタイベックは、建設資材や工業資材など、幅広い用途で使われている。防護服の販売拡大と同時に、「展示会を通じて用途開拓を加速する」と話す。