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クラボウ 「ネイテック」販売量1.5倍

2024年02月05日 (月曜日)

 クラボウは、原綿改質の機能綿糸「ネイテック」と裁断片などを独自の開繊・反毛技術で再資源化する「ループラス」の2本柱を軸に、原糸販売を伸ばす。特にネイテックでは綿100%でありながらも高い機能性を持つ強みを生かし、販売量が前期に比べ1・5倍に拡大。アウターなど新たな用途開拓も進める。

 原糸販売は、第3四半期(2023年10~12月)に入ってから暖冬の影響などによって市場全般で低調にあるが、「販売数量はそれほど落ちていない」(繊維事業部の小林靖弘繊維素材部長)。新型コロナウイルス禍前の販売量には戻っていないものの、ネイテックの販売がけん引し「計画通り推移している」。

 ネイテックは、綿100%を中心とした天然繊維原料に機能材を加え分子レベルで改質した機能素材。素材の風合いを損なわず「吸湿発熱」「吸放湿」「消臭」などの機能を付与し、繰り返し洗濯しても機能を維持できる特徴を持つ。

 発熱機能を持った秋冬向けインナー関連への採用が多いほか、最近では靴下でも採用が増加。肌に近い用途を中心に消臭や蒸れの軽減といった機能で春夏向けにも広がっている。

 7番手から80番手まで対応でき、今後はTシャツなどアウター用途へも広げる。さらに中空紡績糸「スピンエアー」の技術を掛け合わせた「ワンランク上」の素材開発の提案も進む。発熱性、保温性がより高まり、高価格帯のインナー用途にも最適だという。

 ループラスは20、30番手を中心にタオルやデニムへ「じわじわと販売が増えている」。反毛の比率は約30%程度のものが中心。22年には最小1ケース(24㌔)から20、30番手の糸の販売も始めている。リサイクルによるストーリー性を持たせた展開で「プレミアム意識をくすぐる仕組み」作りにも目を向ける。

 ネイテックをループラスによってアップサイクルするといった提案も構想。小林部長は「販売の中身を変えていく」と強調する。25年3月期を最終年度とする現中期経営計画までにネイテックの販売拡大の土台を作りながら、「次期中計でジャンプアップを捉えていきたい」と話す。

 15、16日に愛知県一宮市で開催される糸総合展「第21回ジャパン・ヤーン・フェア」&「THEBIHU~糸と尾州の総合展~」に出展し、ネイテック、ループラスを発信する。