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合繊メーカー/北陸の工場/順次稼働を再開/一部で復旧に遅れ

2024年02月06日 (火曜日)

 能登半島地震発生から1カ月を経て、被災した合繊メーカーの北陸地方の工場も順次再稼働するなど復旧が進む。ただ、工場だけでなく周辺インフラにも被害が出ていることから一部で復旧に遅れも生じている。(宇治光洋)

 北陸地域に立地する合繊メーカーの工場や関係会社は、地震発生後は操業を停止し、被災状況の確認を進めてきた。東レの石川工場(石川県能美市)や東洋紡の富山事業所庄川工場(富山県射水市)、三菱ケミカルグループの富山事業所(富山市)などは建屋や設備の一部に損傷が発生していたが、いずれも安全が確認できたものから順次再稼働した。

 東レ石川工場は建屋や設備の一部に破損が見られたため地震発生直後は操業を停止していたが、安全が確認できたとして1月9日から操業を再開した。東洋紡の庄川工場は、まず操業に支障がないことを確認した加工部門を1月9日から再稼働している。

 樹脂製品やトリアセテート繊維「ソアロン」を生産する三菱ケミカルグループの富山事業所も1月8日から安全が確認できたプラントから順次稼働を再開しており、ソアロン製造ラインも現在は再稼働している。1月中には全プラントの稼働を再開する予定だったが、一部プラントの再稼働は2月上旬にずれ込んだ。

 一方、一部には復旧に時間を要するものもある。東洋紡の庄川工場の織布部門は現在、工場建屋と設備の復旧作業を進めており、一部品目に関しては4月上旬からの生産再開を予定する。それまでの出荷は在庫で対応する。

 東レは北陸地域に立地する関係会社として織布の創和テキスタイル(石川県羽咋市)と紡績の丸一繊維(新潟県糸魚川市)がある。丸一繊維は安全が確認できたため既に操業を再開しているが、創和テキスタイルは現在も安全確認作業中。操業再開時期も今のところ未定だ。

 復旧に若干の遅れが生じているものがあるものの、総じて順調に復旧作業が進んだと言えそうだ。ただ、各社とも北陸地域で委託加工などを担っている取引先企業が復旧途上となっているところが少なからずある。道路などインフラへの被害も一部で続いている。このため生産だけでなく原料搬入や製品出荷など物流面も含めると完全に正常化するにはもう少し時間が必要となる可能性もある。

 また、サプライチェーンを維持するために被災した産地企業へのフォローも合繊メーカーの大きな役割となる。