東洋紡せんいのスポーツ素材 中韓へ販売伸ばす

2024年02月14日 (水曜日)

 東洋紡せんいのスポーツ事業部は中国や韓国への生地販売を強化する。近年、中韓両国では日本のスポーツアパレルブランドの人気が高まっていることから、そこに独自性のある日本製テキスタイルを提案することで海外販売の拡大を狙う。

 同社の2023年度(24年3月期)のスポーツ・アウトドア素材販売は売上高がほぼ計画通りに推移している。ただ、原燃料高騰や円安による海外調達コストの増加などの影響で利益面はやや苦しかったようだ。スポーツ・アウトドア分野の市況自体にも一服感がある。ただ、高密度ニット生地「スクラムテック」など差別化品の販売は好調が続いており、ブームが一巡したとされるゴルフウエア用途も堅調だった。

 こうした中、好調なのが中国や韓国への生地販売。林英昌取締役スポーツ事業部長は「中国や韓国では日本のスポーツ・アウトドアブランドの人気が高まっており、そこに向けた生地販売が拡大している」と説明する。

 同社のスポーツ・アウトドア向け素材販売は、輸出織物事業部が欧米アパレルへの高密度ナイロン織物や高密度ポリエステル織物販売を、スポーツ事業部は国内のスポーツ・アウトドアブランドへの販売を担当する。

 海外で販売される日本のスポーツ・アウトドアブランドへの生地販売もスポーツ事業部が担い、さらなる拡大を目指す。そのためには「海外の消費者に評価される“日本製”素材を打ち出す」として、スクラムテックなど独自性のある素材を積極提案する。

 一方、国内での販売に関して、得意とするアスレチック用途の需要が大きく拡大する可能性が低いことから、スポーティーカジュアルなどタウンユースに対応した素材提案を強化する。合繊100%に加え、綿など天然繊維の活用を拡充する。改質によって綿を疎水化し、吸水速乾性や肌離れ性を高めた「アイ・コット」など機能を併せ持った独自性のある素材を積極投入する。

 世界的に要求が強まるサステイナビリティーへの取り組みとして、自社グループ内の縫製工場で発生する端材をマテリアルリサイクルする「T2T」なども積極的に導入する。