繊維ニュース

災害発生時に対応

2024年02月14日 (水曜日)

 繊維関連団体・企業は、災害に焦点を当てた製品の提案を強化している。このほど横浜市で開催された「第28回震災対策技術展 横浜」には東レ合繊クラスター、帝人フロンティア、縫製会社の向陽(神戸市)などが出展し、それぞれの角度で製品を紹介した。

 東レ合繊クラスターのエンドプロダクツ分科会は、「普段から安心・安全を着る」をテーマに、災害への備えや災害発生時に必要とされる機能を付与したリバーシブルコート・ベスト、ポケッタブルベストを展示。表面が黒、裏面がオレンジの防寒対策用ニット製品も見せた。

 リバーシブルコート・ベストは、表側が濃色、裏側が蛍光色の2重織生地を使用し、通常は仕事着や普段着として利用し、非常時は裏返して着用する。裏側は「JIS T8127」で定められた色度座標の範囲と輝度率に適合した視認性の高い蛍光色を採用。再帰反射テープも付与している。

 防寒対策用ニット製品は、ネックウオーマーとハンドウオーマーをそろえる。黒原着糸と蛍光オレンジの原着糸で表と裏の色を分け、リバーシブルコートなどと同じく、日常と非常時の両方で使える仕様とした。まだ開発途上とし、来場者らの声を聞き、製品に改良を加える。参考出品ではペット用エマージェンシー・ウエアも展示した。

 帝人フロンティアは、建物内安全・BCP・備蓄・水防対策の自助共助公助を補完するための総合防災プラットフォーム「まるごと防災」を提案した。一般社団法人まるごと防災協議会が立ち上がっており、啓発活動は協議会が担当し、製品販売は帝人フロンティアが行う。

 まるごと防災の製品では、担架としても使える緊急防災毛布「もうたんか」や初期消火に役立つ新防炎カーテンなどの引き合いが増えてきた。新防炎カーテンは「放火事件の増加を受け、災害用としてだけでなく、万が一の事件・事故への備えとして購入するケースも出てきた」という。

 向陽は、レインウエアの生産を主力とする企業。今回は、再帰反射材を全体に使ったウエアを紹介した。再帰反射材メーカーと共同開発した生地を使い、蛍光色で視認性を高めている。救命胴衣など幅広い用途で展開したいとし、生地売りにも応じる。