繊維ニュース

JYから見る素材傾向/環境配慮型中心に/機能性も天然、合繊幅広く

2024年02月20日 (火曜日)

 愛知県一宮市で15、16日、国内最大級の糸の展示会「ジャパン・ヤーン・フェア」(JY)が開かれた。環境配慮や機能性などを中心に天然繊維から合繊まで幅広い素材が一堂に会した。新型コロナウイルス禍が落ち着き国内の経済は動きだしていることは間違いない。糸を起点としたモノ作りで国内の繊維産業活性化ののろしを上げる。(川口直康)

 今回展示された商材は前回に続き環境配慮型が中心となった。「リサイクル」「循環」「生分解」などがキーワードだ。サステイナビリティーの流れはより加速しており、供給側の環境配慮への取り組みは定着している。多彩な機能性をうたった新商品も多く、差別化を図る企業が目立った。

 仮撚糸製造の山越(石川県かほく市)はリサイクルポリエステル糸の新商品「リオペット」をPRした。高純度ペレット「ボトリウム」を使った商品で、担当者は「ペットボトルの回収から、粉砕、洗浄、ペレット化までトレースできる。来場者からはストーリー性があることへの反応が良かった」と話した。

 同じく北陸から出展した糸商のタロダ(石川県内灘町)は生分解性ポリエステル糸「クラフトエボリーテ」を提案した。従来のポリエステルよりも高額ではあるが、サステの流れを受け、衣料向けに採用が広がっている。二酸化炭素から成分を抽出してポリエステルを製造する試みも進めている。

 全く新しい繊維素材として注目を集めたのが、Spiber(スパイバー、山形県鶴岡市)が開発した植物由来の人工タンパク素材「ブリュード・プロテイン」だ。今展では同社と協業する豊島や長谷虎紡績(岐阜県羽島市)が、それぞれ開発した混紡品などの新素材を打ち出した。

 機能性の商材では、クラボウが原綿改質の機能綿糸「ネイテック」を大々的にPRした。綿が持つ風合いや着心地を生かしたまま、「吸湿発熱」「吸放湿」「消臭」などの機能を付与しており、繰り返しの洗濯でも持続する。裁断片などを独自の開繊・反毛技術で再資源化する「ループラス」も展示した。

 今展には染色整理加工業も出展。岐セン(岐阜県瑞穂市)はナイロンのコンパクト加工「バゼロ」と、同加工の派生シリーズを提案した。バゼロは自然なシワが付くカジュアルテイストな表情で好評を得ている。今後はバゼロとさまざまな加工を組み合わせる。木曽川染絨(同県笠松町)は同じ生地で7種類の起毛加工を訴求した。