シキボウ・繊維部門 海外戦略を活発化

2024年02月22日 (木曜日)

 シキボウの繊維部門は、新型コロナウイルス禍によって遅れていた海外拠点を軸に新ビジネスにつながる動きを活発にしている。繊維部門長の加藤守取締役常務執行役員は、現状15~20%ある海外売上高を将来的には「倍にしていきたい」と話す。

 第3四半期(2023年4~12月)までの売上高は中東民族衣装向け生地輸出が堅調だったものの、原糸や生活資材事業の寝装品の販売が不振でほぼ横ばいだった。ユニフォームの価格転嫁が進んだことなどで営業損益は赤字幅が縮小した。

 好調が続く中東向けは円安の影響もあり「日本製生地に対する需要が活気づいており、枯渇感がある」。3月からラマダンセールのシーズンに入り、「当面は輸出が拡大する」との見通しを示す。

 そのため加工を担うシキボウ江南(愛知県江南市)では輸出拡大を受け、外注していた加工を自社に取り組み、これまでの加工量を倍増させる。同工場ではユニフォーム用途が多いが、インドネシアの紡織加工子会社メルテックスとも連携を取り、バランスを保ちながら加工量を増やす。

 中東向けの場合、最後の仕上げの部分で人手がかかることから、その部分では外注の活用も図る。連続染色の加工設備の老朽化も進んでおり、来期(25年3月期)にはスチーマーやベーキング機の設備の更新を検討する。

 1月29日にはベトナムに現地法人「シキボウベトナム」を立ち上げた。これまで製造による連携が中心だったが「これからは販売での連携も加速する」。既存のルートだけでなく、現地の協力企業や日本の商社とも今まで以上にタイアップしながら新たな販路を開拓する。

 ベトナムでは日本向けに製品ビジネスを拡大しているが、欧米や東南アジアなど第三国輸出も狙う。政府が繊維、衣料品業界が製造業全体で国内調達率を高める目標を定めており、「その流れにも乗っていきたい」。ホーチミンのサイゴン見本市会場で28日~3月1日に開催されるベトナム国際アパレルファブリックス&繊維関連技術専門の展示会「VIATT」に出展し、現地での発信にも力を入れる。