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古橋織布/色柄ではなく質感押し出す/MUからPVパリにシフト

2024年02月26日 (月曜日)

 【パリ=龍山千里通信員】遠州織物産地の古橋織布(浜松市)は6~8日にフランス・パリで開かれた「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ25春夏」展に初出展した。同社は新型コロナウイルス禍を除き、2014年から昨年までイタリアの生地見本市「ミラノ・ウニカ」(MU)に継続出展していたが、シーズンごとの移り変わりが激しい大手メゾンのバイヤーが多いMUとのミスマッチを近年感じ始めたと言う。

 より多様なバイヤーの来客層を持つPVパリ展への出展に転換して、自社の規模感やタイムスパンで長期的に継続できる取引先を見つけることを試みた。

 綿100番手のローンから16番手のしっかりしたボイルウェザーまでさまざまなクオリティーの生地が、色や柄など視覚的な情報を除き、質感をより鮮明に感じてもらえるよう白生地のハンガーで構成した展示が特徴的だった。

 元々は地元の図書館で子供向けの教育活動の一環として生まれた展示アイデアだそうで、パリの展示でもバイヤーが触れる機会創出と話題の種につながった。

 他国の出展企業は華やかな装飾も目に留まるが、ただ目立たせるのではなく、自社の強みは何かを分析した上で「作り手の見えるモノ作り」を伝えられるように写真なども併せて展示した。

 同社は既に07年から海外販路を持つ。今回の期間中は英国、フランス、ベルギー、米国、豪州などのブランドから引き合いがあった。「自社の生地の良さを分かってもらい、一緒に長期的なモノ作りをしていけるようなパートナーを見つけたい」と古橋佳織理社長は話した。