メルテックス 中東とインドネシアに注力

2024年03月01日 (金曜日)

 シキボウの在インドネシア紡織加工会社、メルテックス(東ジャワ州モジョケルト)は今期(2024年12月期)、中東への生地輸出やインドネシア国内での糸・生地の販売に力を入れる。

 同社はポリエステル・綿混の紡績糸と織物を主力とし、売上高の大半は、日本向けユニフォーム地と中東の民族衣装(トーブ)用生地で占められる。まだ売り上げの規模は小さいがインドネシア国内でのスクールシャツ用の素材販売やベトナムへの資材用糸の輸出ビジネスもある。

 中東は昨年に続き、民族衣装用の生地の需要があり、今後も受注の伸びを予想する。現地では長年、シキボウの生地が最高級ブランドの一つとして認知されており、この強みを生かしてさらに中東でのシェアを伸ばす。

 日本で流通するユニフォーム用途の織物販売は前期に続いて苦戦を見込む。近年のユニフォームアパレルの値上げにより、市況が停滞していることや、メルテックスから日本のシキボウ江南(愛知県江南市)へ最終加工のため輸出する、為替環境も逆風だ。メルテックスの吉原朋宏社長は「新たな需要を作るための開発や顧客への提案は続けるが、今、無理に売り込むことはしない」方針だ。

 一方、インドネシア国内の汎用的な糸の市場では、中華系やローカル紡績が価格競争力を強みに圧倒的なシェアを握っている。この市場に糸の品質の高さ、さまざまな国際認証を取得する工場の強みを背景に攻勢をかける。「当社の糸は多少割高にはなるが、品質の高さ、ロス発生率の低さを強みに提案する」(吉原社長)。糸の用途は衣料品に加え、安定的な発注が期待できる資材でも需要を探す。

 メルテックスは前期からベトナムに資材用織物を作るための糸を輸出している。今期も堅調に需要があるとみており、1月に発足した現地法人、シキボウベトナムが参加する現地の繊維素材展でメルテックスの素材をアピールする。

 同社の生産力は紡績で5万錘、織機は90台。このうち13台を今年に150㌢幅のものに入れ替える。直近の生産数量は糸が月産千~1500¥文字(G3-1004)、織布が60万㍍、加工が65万㍍ほど。加工は漂白が多い。