繊維ニュース

東レ 高付加価値化を推進

2024年03月04日 (月曜日)

 東レの大矢光雄社長ら首脳は1日に金沢市内で会見し、高付加価値化を視点に北陸産地との取り組みを強化していく考えを示した。

 繊維事業は今期(2024年3月期)、売上収益9720億円(前期比2・8%減)、事業利益555億円(8・3%増)と減収増益の見通し。大矢光雄社長は「繊維は中経での課題を確実に実行している。直近の業績予想修正は気候によるところが大きいが、トレンドとしては問題なく計画どおりに推移していくとみている」と話した。

 足元の懸念材料の一つが中国の動向で、内需の不振とそれに伴ってASEANに安価な中国品が流れ価格競争が激化していることを挙げる。その中で三木憲一郎専務執行役員繊維事業本部長は「定番品は影響があるが、設備を含めて差別化を進めており、そこでの影響は小さい」とし、さらに差別化を進めていく考えを示した。

 足元では欧州向けが厳しいが、米国向けは前期比微減にとどまる見通し。米国向けは昨年4~6月が好調だったが下半期は在庫調整の影響が出ているという。差別化品へのシフトをさらに進めることで、来期は回復を狙う。国内は自動車用途が足元で減速感があるものの大きな流れでは拡大していくとみる。衣料用途は暖冬で24秋冬の投入が遅れているが、「トータルでは挽回できる」とする。

 北陸産地とは高付加価値原糸と産地企業の技術を組み合わせた開発を推進するとともに、デジタル技術で企業を変革するDXなどで垂直連携を強化し、競争力を高めていくことを重視する。「付加価値の高いモノの比率を高めていく。24秋冬については暖冬の影響は若干あるが、来期はトータル量で今期並みを狙い、産地企業の売り上げ規模を上げていきたい」と話す。

 能登半島大地震の影響は創和テキスタイルの釜屋工場がまだ再稼働していないが、3月中の復旧に向けて動いている。