繊維ニュース

フェムテック・フェムケア/多様化するアプローチ/カテゴリー全体の成長に期待

2024年03月04日 (月曜日)

 女性の悩みに対してさまざまな製品やサービスで寄り添うフェムテック・フェムケア。新しい需要が期待できるカテゴリーとして繊維関連企業のほか、繊維以外の業種・産業の企業も目を向けている。多様な角度からアプローチが仕掛けられており、カテゴリー全体として成長が続きそうだ。フェムテック・フェムケアの現状と今後を探る。(桃井直人)

 フェムテックは、フィーメル(女性)とテクノロジーを合わせた造語で、女性が抱える体と心の悩みに対して先進的な技術で解決するサービス・製品を指す。一方のフェムケアは、フィーメルとケアを組み合わせた造語。女性の健康をケアする製品やサービスを意味し、フェムケアという言葉を使う繊維関連企業も増えている。

 関連する展示会・イベントへの関心も高く、多くの来場を集めているが、出展者の顔ぶれはこの1年で大きく変わった。以前は他産業を含めて吸水ショーツを見せる企業も多かったが、昨秋から今年にかけてはそうした姿が減少し、提案製品・サービスの多様化が進んだ。吸水ショーツもより洗練・高度化された商品が並ぶ。

 そうした中で目立ってきたのが、企業にサービスを提供する動きだ。オフィス空間構築事業などを行うオカモトヤ(東京都港区)は、中小企業向け女性活躍推進支援サービス「Fellne」(フェルネ)を2022年8月に立ち上げ、女性のQOL向上のための「フェムアクション」を加速している。

 その取り組みの中から災害用レディースキットが生まれた。災害発生時にオフィス待機を可能にする企業内備蓄キットで、生理用品や夜用ショーツなどをパッケージしている。空間の提案では、性別に関係なく使用できるオールジェンダートイレを考案した。

 フェムテック・フェムケアの自社製品「Hogara」(ホガラ)を展開する豊島は、女性のライフステージに対応する福利厚生サービス「ホガライフサポート」を展開する。専門家によるセミナーの実施、相談窓口の開設などを行い、社内だけでなく、外部企業にもサービスとして提供している。

 睡眠とフェムテック・フェムケアを結び付ける動きも活発化してきた。パラマウントベッドは体の動きから睡眠状態やバイタルを推定する「アクティブスリープアナライザー」をフェムテックイベントなどで紹介した。

 日本国内でフェムテック・フェムケアが注目され始めたのは2019~20年。調査会社によると、20年に約600億円だった市場規模は、21年に645億円、22年は695億円にまで拡大し、23年は7%増の743億円に達したと推定されている。製品・サービスが広がっていることから24年度以降も成長が見込まれる。