こだわりの糸 集結 ジャパン・ヤーン・フェア( 3)

2024年03月05日 (火曜日)

代替の各種提案活発

 原燃料高、為替の円安傾向が続く。2024年も繊維製造業はコスト上昇への対応に頭を悩ませることになりそうだ。同時に玉不足も悩みの種。

 その一つがリネンだ。「ジャパン・ヤーン・フェア」(2月15、16日)に出展したトスコによると、天候不順などで収穫量が半減し価格が高騰し続けており、原料不足も続く。今年も収穫量が読めないため「リネンを使う企業は代替を探すところが多い。靴下製造業からも話があった」と言う。同社は今回展でその代替としてラミー16色を27色(染め糸19色、トップ染糸8色)に増やして提案した。

 特殊紡績糸製造のミマス(三重県玉城町)はリネン代替として、ヘンプ綿混糸を前面に打ち出した。綿混糸のほか、海洋生分解性レーヨン短繊維混糸、ペットボトル再生繊維混などもそろえた。既にヘンプ混紡糸はある生地商社が採用し、12色の備蓄販売も行っているが、来場者から「ヘンプ100%糸はあるのか」という質問があるなど、リネン代替としてヘンプへの関心の高さをうかがわせた。

 玉不足とは異なり、原料調達先の撤退に伴い新たな提案を行ったのは、靴下などに強い糸商の河辺(奈良県大和高田市)だ。三菱ケミカルのアクリル短繊維生産休止の対策を講じ、新見本帳を打ち出した。その一つが抗菌防臭糸(綿70%、アクリル30%)「プリート」。三菱ケミカルの抗菌防臭アクリル短繊維の代わりに糸への後加工で抗菌防臭性を付与した。綿糸もカード糸ではなく、コーマ糸に変更し約140色を備蓄販売する。

 遠赤外線放射機能が特徴の「セラウォーム」(アクリル80%、ナイロン15%、ウール5%)も他社製アクリル短繊維に切り替え提案した。

 靴下用ではシルク専門商社、松村(京都市)が提案した絹紡起毛糸も関心を集めた。備蓄販売する「ココン」(60色)がベース。横編みセーター狙いだが、触り心地の良さもあって、数件試作の要望もあったと言う。シルク関連では近藤紡績所(名古屋市中区)の綿シルク混糸「アルモニコス」も注目された。空紡糸は珍しく、糸、生地で提案した。

 靴下や横編みセーターなどは毛玉ができやすい。その対策として東亜紡織は各種抗ピル糸を提案した。横編み用途に力を入れており、「クリムゾン」など4種類の抗ピル糸使いと普通糸使いの生地で比較。毛玉の発生の仕組みも含めて紹介したが「来場者の反応は良かった」と手応えを語る。