シキボウのベトナム法人 第三国向け拡大に本腰

2024年03月12日 (火曜日)

 シキボウは、1月29日に法人化したシキボウベトナムを通じ、主に糸、生地でベトナム国内向け、周辺国向け、欧米向けの販売拡大に本腰を入れる。特に欧米向け拡大を重視する。今月5日にはホーチミンで取引先や関係者約50人を招き開業式を行った。

 シキボウは、2009年ごろからベトナムで綿糸、丸編み地、トリコット、ニット製品の生産をスタートさせ、主に日本へ輸入している。20年にはホーチミンに駐在員事務所を開設し、チャイナプラスワンの流れを取り込む拠点として現地での糸、生地手配、縫製品品質管理などを進めてきた。

 今回の法人化を機にベトナム生産をさらに拡大させるとともに、対日以外の販路拡大に取り組む。現在の生産品目は原糸で、綿糸、綿・ポリエステル混紡糸、精紡交撚糸、強撚糸、甘撚り糸、二層構造糸、スラブ糸、コンパクト糸、サイロコンパクト糸、MVS糸、OE糸など、生地で丸編み地、トリコット、各種機能加工と多岐にわたり、編み地の縫製もホーチミン近郊の協力工場で行う。1年前からは捺染も可能になった。「シキボウ品質」にこだわり協力工場への技術指導と管理を続けてきた成果が表れている。協力工場への設備の購入・貸与も適時行っており、今後も必要と判断すれば投資していく。

 販路構成は現状、大半が対日で、それ以外は現地企業への糸販売が少しある程度。シキボウベトナムの藤井靖之社長は法人化を機に「主に糸と生地でベトナム内販と欧米など第三国向けを伸ばしていく」と意気込む。地産地消の流れが強まる中で、「シキボウ品質の糸、生地をベトナムで調達したい」との要望も増えており、そこに商機を見いだす。

 糸、生地の欧米向け拡大に向けては、日本本社と連携を図りながら、欧米向けを主体とするベトナムの縫製工場への営業活動を強める。糸は備蓄を検討するが、生地はバイオーダーに徹する。そのため備蓄型生地商社との連携が第三国向け拡大の鍵を握ることになるとみる。