東レのスポーツ・衣料資材 差別化ニット生地強化

2024年03月13日 (水曜日)

 東レのスポーツ・衣料資材事業部は、ニット生地の提案を強化している。主力のスポーツ・アウトドア市場は流通在庫増加で調整局面が続いているが、ここに来て重点提案する差別化ニット生地の人気が高まってきた。

国内だけでなく海外の生産拠点も活用しながら、さらなる販売拡大を進める。

 スポーツ・衣料資材事業部は2023年度(24年3月期)からスポーツ・アウトドア向け生地輸出業務がテキスタイル貿易事業部に移管されたことで、国内向けと国内アパレルの海外販売向けの生地販売を担う体制となった。23年度は、スポーツ・アウトドア向け生地が22年までの活況の反動で市況に一服感があるものの販売量はそれほど落ち込んでおらず、比較的堅調に推移した。

 織物は透湿防水生地「ダーミザクス」やストレッチ生地「プライムフレックス」などが堅調な販売となり、高通気生地「ドットエア」がスポーツ・アウトドアだけでなくセットアップジャケット・パンツでも採用が増えるなど人気が高まっている。

 また、裏地も回復基調。新型コロナウイルス禍の際に一時は販売量が半減したが、現在はコロナ禍前の70~80%の水準にまで回復している。特に婦人衣料向けは一定の需要が底堅くあるというのが同社の見方だ。

 一方、課題は利益面。大塚潤スポーツ・衣料資材事業部長は「コストアップの影響で利益が低下している。この対策が24年度のテーマ。商品の付加価値をさらに高めることで販売価格も引き上げていく」と話す。

 引き続きニット生地の提案を強化する。軽量肉厚の保温ニット生地「カルイシ」、一格上の吸水速乾ニット生地「フィールドセンサー秒乾」と、高い遮熱・UVカット・透け防止性を持つ「ボディシェルEX」を組み合わせるといった方法で高付加価値品のラインアップを拡充する。

 国内生産品だけでなく中国のパシフィック・テキスタイルズと東麗酒伊織染〈南通〉、タイのトーレ・テキスタイルズ〈タイランド〉、ベトナムの協力工場で生産するニット生地を活用した提案と販売にも力を入れる。

 一方、織物は人気が高まるドットエアのバリエーションを拡大する。ダーミザクスはテキスタイル貿易事業部と連携し、グローバルなブランディングを推進する。