中国から届く新たな風  ザ・メーカーズ・アパレルショー (4)

2024年03月14日 (木曜日)

日本の展示会初の企業も

 多米楽〈嘉興〉紡織品は、研究・開発から生産、販売までを一貫で行う企業。日本市場向けが全体の30%を占め、中国国内販売が40%、フランス市場向けが30%。技術革新に力を入れており、常に新しい製品を提案する。これによって将来は「日本向けの比率を50%に増やしたい」と話す。

 接着縫製やエンボス加工、高周波プリントなどの特殊技術を得意としている。接着縫製では中国国内最大規模の工場を持ち、全ての工程を自社で完結することで高品質な仕上がりを実現している。また、納期を短縮することも可能だ。製品の開発は顧客と共同で取り組むことが多いと言う。

 環境対応にも積極的に取り組んでいる。工場にソーラーパネルを設置して太陽光発電を行っているほか、生地のレーザー裁断の際に生じるガスも適切に処理している。裁断くずの利用にも目を向けており、糸に再生する。現在は裁断くずを集めている段階としている。

 三之紅国際貿易は、婦人服を主力とし、ブラウスやボトムスなどを生産している。日本市場向けが100%と言うが、日本で開催される展示会や商談会への出展は今回のザ・メーカーズ・アパレルショーが初めて。「日本の状況を確かめたかった」と話す。

 自社工場にはミシン150台のほか、裁断機や検針機、検反機などをそろえる。生産効率の向上に日常的に取り組んでおり、品質と納期(25日)に対応する。ロットについても細かく対応するとし、最小で150枚程度から応じる。

 海塩裕豊新材料は各種タグや洗濯ラベル、織りネームなどを製造・販売している。欧米市場向けを主力としていることから、日本の展示会・商談会への出展は初。「物理的にも心理的にも距離が近いので日本市場向けに力を入れたい。商談会を通じて需要を獲得したい」と話した。

 展開商品は多種多様だが、タグのほとんどに再生紙を使用するなど、環境に配慮している。例えば、分解性ハトロン紙を使ったタグは、クジャクソウの種を埋め込んだ。植えるとタグは分解され、クジャクソウの芽が出る。種は要望に応じて変更することが可能だ。

 ハンガーを製造・販売する浙江国松家居股份も日本での展示会・商談会に初めて出展した。プラスチックハンガーを専門に生産し、国際的に有名な百貨店やブランドの指定ハンガー供給業者でもある。現在は米国市場向けを主力としているが、今後は日本市場の開拓に力を入れる。

 中国のほか、カンボジアとベトナム、バングラデシュに自家工場を持つ。GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)認証を取得したハンガーの提案もできる。「中国のハンガー業界の先駆け」を自負し、設備と技術を生かした製品の開発を進める。