「インテキ上海24春夏」レビュー(前)
2024年03月14日 (木曜日)
日系は生地ブランド訴求
服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル(インテキ)上海アパレルファブリックス2024春夏」が6~8日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開かれた。市況鈍化の影響が懸念されたが、期間中多くの人でにぎわった。日系各社は独自の生地ブランドを訴求した。
(上海支局)
今回展の出展者数は25カ国3千社超で、昨春展並みとなった。海外出展者は約400社となり、日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催する「ジャパン・パビリオン」をはじめ、イタリア、トルコ、パキスタン、韓国、台湾などがパビリオンを設けた。これらが集まる海外ホールは盛況で、中でもジャパン・パビリオンとイタリア館が人気だった。
ジャパン・パビリオンには、川越政、小原屋繊維、三政テキスタイル、SHINDOの新規4社を含む27社が出展した。昨春展を6社上回り、春展として過去最多となった。東麗酒伊織染〈南通〉や南通帝人、スタイレム瀧定大阪、三菱ケミカルは単独出展した。
来場者数はまだ発表されていないが、昨春展並みになった可能性が高い。昨春展は「ゼロコロナ」政策が解除された反動で、過去最多の延べ約10万人となった。市況の鈍化が続く中、ブランド関係者らが新しいものを求め、今回展に集まったようだ。新しいネット通販ブランドが次々と立ち上がっていることも関係しているとみられる。
日系出展者の多くが独自の生地ブランドを打ち出した。日系企業の主要顧客となっているネット通販ブランドが、生地にブランドやストーリーを求めていることが背景にある。
帝人フロンティアの中国法人、南通帝人と帝人商事〈上海〉は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」のブランド訴求に取り組んだ。ソロテックスはここ数年、中国でも知名度を高め、ネット通販ブランドなどから指名買いされている。
東レグループの東麗酒伊織染〈南通〉は、ナイロン100%高密度織物「エアータスティック」や、高いストレッチ性とキックバック性、軽量性を持つ複合糸使いの織物「プライムフレックス」などをアピールした。
スタイレム瀧定大阪は、綿のような風合いを持たせた軽量で強度のあるリサイクルナイロン使いの「リコティーナ」や、綿原料の品質にこだわった高級丸編み地「ITADAKI」など、生地ブランドごとにコーナーを設け、製品サンプルとともに訴求した。
ジャパン・パビリオンに初出展した三政テキスタイルは、奇麗めのシャツ地ブランド「メイフィス」を訴求した。海外市場開拓のために約1年半前に立ち上げたブランドで、日本と中国で生産している。中国のほか、韓国と米国へも広げていく。