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帝人フロンティアの短繊維 新規用途開発に注力

2024年03月15日 (金曜日)

 帝人フロンティアの産業資材部門短繊維素材本部は、ポリエステル短繊維事業に関して新規用途開発に力を入れる。好調のショートカットファイバーに続く収益源の育成を目指しており、特にクッション材用途に注目する。世界的に環境配慮への要請が強まっていることを追い風にする。

 ポリエステル短繊維事業の2023年度(24年3月期)商況は、車両用不織布向けが原反販売も含めて堅調に推移する。24年1~3月こそ自動車メーカーの不正発覚による生産停止で需要が鈍化したが、年間ベースでは自動車生産台数回復で需要も回復している。

 そのほか、衛材用途は市況低迷が続いているが、生活資材向けは例年並みで推移。また、ショートカットファイバー(短カット)は水処理膜支持体向けを中心に販売量の拡大が続いており、収益の柱としての存在感が一段と高まった。このため生産拠点であるタイ子会社、テイジン・ポリエステル〈タイランド〉でショートカットファイバーの生産設備増設が検討されているもようだ。

 一方、堀田敏哉短繊維素材本部長は「水処理膜向けショートカットファイバー以外の用途開発も重要になる」と強調。特にアジアや欧米などグローバル市場での需要開拓が欠かせないと指摘する。

 その一つがポリエステルクッション材「エルク」による自動車シート部材への提案。自動車シートのクッション材はウレタン製が一般的だが、欧州を中心にリサイクル性を高めるために単一素材(モノマテリアル)化の流れが加速しており、シート表皮材と同じポリエステルを使用したクッション材への関心が高まる。これを生かすためにグループ会社である自動車内装材製造のジーグラーと連携して開発と提案を進める。

 そのほか、機能わたの提案も強化する。八葉断面わたや乾式不織布向け極細繊度わたなどの開発と提案を進めており、寝具や中わた、その他の不織布製品などで用途開発に取り組む。