中国から届く新たな風  ザ・メーカーズ・アパレルショー (5)

2024年03月15日 (金曜日)

機能性や環境対応に商機

 南通宏邦紡織は、婦人服や雑貨を得意とする。カジュアルなシャツやパーカ、スカート、パンツ、バッグなど幅広く扱い全て日本向けだ。「20年近く日本と取引しており安心感がある」と話す。年間生産枚数は約100万枚で、売上高は600万㌦(約8億円)。新型コロナウイルス禍の2020年に日本事務所(東京都墨田区)を設置し、取引先との関係強化を図っている。

 最近は小ロット生産の依頼が増え、大ロットの取引が減少傾向と言う。「大ロットでも小ロットでも適正価格で取引したい」と求める。工場で働く従業員の人件費増に対応するため「効率的な生産体制の構築を進めているが、昔のような価格で取引するのは難しい」と語る。

 最大の課題は受注量の減少。「品質面や納期順守といった点で東南アジアやインドの工場には負けない」と売り込み、巻き返しを狙う。

 南通漢和国際貿易は、婦人ファッション衣料が主力だ。上品なデザインのワンピースやコートを得意とするが、スポーツウエアや流行の商品を大量生産するファストファッションにも対応する。売上高の9割が日本向けで、残りの1割が欧州だ。中国に3工場、カンボジアとミャンマーに各1工場を持つほか、協力工場のネットワークも確立している。

 人件費の安い東南アジアなどに生産地移管を進める日本企業が増えている。取引先をつなぎ止めるため、中国国内でも都市部から離れた人件費の安いエリアの工場での生産を増やすなどして、コストを下げる努力を継続する。

 スポーツウエアを普段着に取り入れる「アスレジャー」人気の高まりで、昨今は機能性素材を採用したスポーツウエアの受注が増えていると言う。「コロナ禍以降、全体の受注量は減少傾向だが好調なスポーツ分野で挽回したい」と意気込む。

 威海洪博貿易は、婦人服を中心に手掛ける。自社工場を持ち、カットソーや布帛製品を生産する。欧米や日本向けが多いが、中東や韓国などにも輸出する。さまざまな国との取引を通じ、品質向上に磨きを掛けている。

 月間の生産能力は5万~6万枚、最小ロットは1型500枚から。コロナ禍で落ち込んだ受注はまだ回復途上だ。「プロのサービスで顧客にパーフェクトの商品を提供する」を理念に掲げ、受注増を目指す。

 環境意識の高まりを受け、最近はリサイクル素材を使用した製品受注が増えていると言う。