中国から届く新たな風  ザ・メーカーズ・アパレルショー (6)

2024年03月19日 (火曜日)

安定生産で東南アジアに対抗

 大連ルーラルズは主力のパンツのほか、アウターやトップスを日本向けに生産する。自社3工場に加え、協力工場5カ所の生産ネットワークを築いている。2002年の設立以来、成長を続け年間売上高を1500万㌦まで伸ばした。

 生産アイテムの男女別構成比はレディースが6割でメンズが4割。全体の売り上げの6割がパンツだ。綿100%の幅広レディースジーンズの受注が好調と言う。

 日本企業がコスト競争力の高い東南アジアに生産地を移管する動きが活発で、中国での生産に陰りが出ている。こうした流れには警戒感を強め、「中国生産のメリットは納期順守と縫製技術の高さ」と強調する。

 最近は小ロットでの受注も増えていると言うが、「工場の稼働率を高める上でも大ロット受注の拡大を目指したい」と話す。

 TOUON東恩は紳士服6割、婦人服3割、子供服1割の構成比で日本向けに重衣料から軽衣料まで幅広く生産する。大口受注に対応する自社工場のほか、複数の協力工場と連携し短納期や競争力のある価格を実現する。

 「日本は物価高で消費者の節約志向が高まっているため、中価格帯が減り低価格帯アイテムの受注が増えている」と言う。

 生産の東南アジアシフトについては、「カンボジアやバングラデシュでは工場従業員によるストライキが頻発していると聞く」と指摘。その上で「中国は人件費が上がっているが、品質や納期を含め生産の安定性を確保できるのが最大のメリット」とアピールする。

 さらに「生産コストを下げると品質面などでリスクが上がる。バランスが重要だ」と強調する。

 威海唐帛進出口は、紳士や婦人用のカットソーや布帛製品を取り扱う。売上高の8割が日本向け。自社工場だけでなく、約30社の連携工場と協力関係を結んでいる。ベトナムに新工場の建設も検討していると言う。年間生産能力は300万枚以上。素材開発から企画、生産を一貫して行い、コストを抑えられる点が強みだ。

 生産アイテムはカジュアルな街着やファッションとスポーツを融合した「アスレジャー」商品が多い。最小ロットは300枚から。

 工場の人件費が安い東南アジアの台頭は不安材料だが、「ファスナーやボタンといった副資材の調達力のスピードや製品の品質の高さで中国に優位性がある」と指摘する。

 新たに子供服の生産にも乗り出している。受注拡大に向け日本事務所の設置も検討している。