ユニチカの不織布 新規取引獲得に手応え

2024年03月22日 (金曜日)

 ユニチカの不織布事業部は、主力のポリエステルスパンボンド不織布(SB)と綿スパンレース不織布(SL)ともに新規取引の獲得に力を入れる。神ノ門英明不織布事業部長は「既に幾つかの案件が決まりつつある」と手応えを示す。

 2023年度(24年3月期)は、SBが自動車向けで回復基調となり土木資材用途も好調だったが、農業資材用途が振るわなかった。住宅関連用途はタイルカーペット向けが東京市場を中心に好調だが、ルーフィングやハウスラップなど戸建て住宅向けが着工数減少で低迷した。SLも販売数量が減少した。生活資材向けは中国人観光客が戻っておらず、インバウンド需要の回復が遅れている。

 このため不織布事業全体でも生産量が若干減少し、加えて原燃料価格が高止まりしていることから利益率も低下した。22年から計5回の値上げを実施しているが、コスト上昇のスピードに追い付いていない。このため今年2月から6回目の値上げに踏み切り、採算の改善に取り組む。

 24年度に関して神ノ門部長は「まずは販売数量の回復を図らなければならない」と強調する。そのために新規取引の獲得に力を入れる。特にSBは一部で新規採用に向けた商談が進んでいるようだ。そのほか、自動車向けや土木資材用途も堅調に推移するとみる。

 SLは中国関連需要の回復が期待できないことから、こちらも米国向けなどで新規取引の開拓に取り組む。コスメティックや生活資材といった用途だけでなく、混綿タイプや積層タイプの提案を強化し、工業資材用途の開拓を進める。4月からは増設した3号機が稼働し、生産能力も高まることから、需要の掘り起こしが重要になる。

 SB、SLともに新規用途の開拓が重要になることから展示会にも積極的に出展する。2月には東京で開催された「新機能性材料展」に出展。綿SLにSBを積層した「コットエースプラス」、熱成形可能なポリエステルSB「マリックスAX」、2成分複合SB「エルベス」の芯部分にポリ乳酸(PLA)を使用したタイプ、再生ポリエステルSB「エコミックス」など高付加価値品を重点提案した。