中国から届く新たな風  ザ・メーカーズ・アパレルショー (7)

2024年03月22日 (金曜日)

新規開拓へ強み明確に

 山東明福製衣は紡績、染色、編み立て、リンキングまでを一貫して手掛ける体制を強みとし、糸の販売も行っている。日本向けが80%を占め、大手チェーンの商品を主力とする。近年は欧米向けのビジネスにも力を注ぐ。小ロット対応の体制も整えており、100枚単位の受注もこなす。

 サステイナブル対応にも取り組んでおり、今展では竹と綿を組み合わせた素材で作る製品サンプルを出品した。吸水速乾、UVカット、抗菌などの機能性を発揮するメリットを訴求した。

 商品だけでなく、「関税優遇についても知ってほしい」とさまざまなアプローチを試み、高い提案力で差別化を図る。

 威海領晟進出口は、布帛とニットの幅広い製品を扱っており、100%日本向けのビジネスを展開する。受注の対象を小ロットに絞ることで、多様なニーズの取り込みを狙う。今展の出展ブースでも「小ロット生産に特化」という文言を大きく掲げていた。

 自社工場にはインクジェットプリンターなど各種の設備をそろえており、顧客の企画に応じた生産を実践している。ダンサーの衣装30着といったユニークな注文を受けた実績がある。

 出展担当者は「小ロットを請け負う会社を探す来場者が多く、ニーズの多さを体感できた意義は大きい。満足している」と手応えを示した。

 蘇州熹然嵐紡織は、日本向けはビジネス全体の60%で、ほぼインナーに特化している。天然素材を使ったシームレスな製品を得意とし、特にシルク製品については高品質な仕上がりで既存顧客から高い支持を得ている。

 「日本企業とは長期にわたって取引し、品質に対する要求に応え続けてきた」と自負しており、これまで培ったノウハウを生かせる新規需要の開拓にも積極的だ。今展でも、ニットと布帛も対応可能な供給力を発信していた。

 婦人用の布帛製品を主力とする南通格麗絲進出口貿易も、天然素材にこだわる提案を行った。オーガニックコットンや再生生地といったサステ素材の調達も担う強みを打ち出した。

 同社取引先の90%以上を日本企業が占め、小ロットで高価な百貨店向けから量販店向けまで幅広いアイテムを手掛ける。ただし、量産品に関しては発注がASEANに流れていると言う。

 こうした状況での出展に「専門店など高品質を求める新規取引先との出会いを期待している。日本向けの製造に詳しいという特徴をアピールしたい」と意気込んでいた。