中国から届く新たな風  ザ・メーカーズ・アパレルショー (8)

2024年03月25日 (月曜日)

日本市場参入・復活の契機に

 浙江嘉欣絲綢肢¥文字(U+4EFD)は、布帛とニットの幅広いアイテムを手掛け、製糸・紡績から染色、縫製まで連なるサプライチェーンを築いている。元来はシルクや麻を使った製品を得意としてきた企業で、特にシルクについては中国の代表的な開発・生産企業とされる。

 ビジネスはほぼ欧米向けが占めるが、以前は取引があった日本企業とも関係性を復活させようと出展を決めたという。

 今展ではミャンマー工場の生産能力を前面に打ち出した。ブラウス、ワンピース、Tシャツ、ジャケット、ダウンジャケットや各種パンツと生産品目は多岐にわたる。

 中国とカンボジアの生産拠点と合わせ、数量に応じて使い分けができるメリットも訴求した。

 生地メーカーの嘉興帛冠紡織は、主に欧米に向けてスポーツ・アウトドア用の機能性素材を輸出している。ストレッチ性のニット、ヨガウエアに使用するトリコット、フリースなどの起毛類と、多様な用途に対応する供給体制を整えている。

 サステイナブル対応にも力を注ぎ、再生ウールや生分解性素材も積極的に取り入れている。

 日本向けは全体の15%ほどだが、今後は増やしていく方針だ。出展担当者は「品質に対する要求が高い日本市場を開拓すれば、世界に自社商品の品質性をアピールする根拠の一つになる」と話す。

 浙江悦和実業は、各種アパレル製品と生地を取り扱う生産貿易一体型の企業で、年間輸出額は8500万㌦に達する。主な取引先は欧米やアジアで、カジュアルウエアを得意とする。

 今展ではダウンジャケットを打ち出した。原料調達からデザインまで一貫して手掛け、中わたの品質水準も顧客の要望に合わせることができると言う。

 「日本企業との取引は長期にわたって安定的に行えると期待できる」と出展の理由を語った。

 寝装品の蕭邦生活科技〈浙江〉は、独自ブランド「紅秀世紡」を日本市場でも展開しようと、初めて日本の展示会に参加した。

 現時点で販売の100%が中国国内で、スーパーなどへの販売網を築き、ブランドの認知度を高めてきた。シルクやコットンの高級素材にこだわり、自社工場でコストを抑えながら高品質商品を生み出す企業努力を続ける。

 日本市場の魅力に「企業の信用性」を挙げる。「日本人は生活にこだわりを持つイメージが強い。当社のブランドが受け入れられる素地は十分にあるとみている」と期待する。

(おわり)