繊維ニュース

新技術で社会課題解決へ

2024年03月28日 (木曜日)

 クラボウは26日、化成品事業部産業資材部長の西垣伸二取締役兼常務執行役員が次期社長に就任すると発表した。6月25日開催予定の定時株主総会後の取締役会で就任する予定で、藤田晴哉社長は代表権のある会長に就く。

26日、大阪市内で行われた会見で西垣取締役は、メーカーとしての現場力を強化しながら、「新しい技術を創出するイノベーションを起こして社会課題を解決するとともに、客先に喜ばれる商品を展開し続けることに、まずは注力したい」と述べた。

 藤田社長は社長交代の理由として、自身の社長就任から今年6月で丸10年となり「10年一世代の区切り」を理由に挙げた。2025年度から始まる3カ年の次期中期経営計画の「立案、実行するのは新社長の方が良い」と考え、バトンを渡すことに決めた。

 西垣取締役は入社以来、化成品事業部で営業畑を歩み、半導体製造向けの高機能樹脂製品を事業化。12年には現在の熊本事業所(熊本県菊池市)に当たる熊本開発センターを立ち上げ、以後事業拡大に携わってきた。半導体市場に向け「まだまだ持続的な成長が見込まれ、引き続き注力する」と強調する。

 繊維事業については、原綿改質の機能綿糸「ネイテック」やアップサイクルシステム「ループラス」など、独自技術を応用した製品で「世の中に価値を必ず見いだしてもらえる」強みを拡販につなげる。「力を入れるところ、絞るところも今後あるかもしれない」としながらも、事業部からの「意見をよく聞き、理解を深めて課題に対処していきたい」

 来期(25年3月期)は現中計の最終年度。30年にイノベーションと高収益を生み出す強い企業グループを見据える「長期ビジョン2030」の折り返し地点となり「非常に重要な年」と認識。中計の達成を目指すとともに、半導体市場に向けては「必ず市場の成長以上の拡大を目指していかなければいけない」と語った。