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ひと/クラボウの次期社長に内定した西垣 伸二 氏/諦めずやり遂げる

2024年03月28日 (木曜日)

 繊維に関わりたくてクラボウへ入社したが、配属されたのは化成品事業で「当時はショックを受けた」。それ以来ずっと化成品事業で営業畑を歩む。入社1年目で「高性能エンプラ製品プロジェクト」に携わり、結果的にこれが半導体製造装置に使用される高機能樹脂製品を生産する熊本事業所の設立につながる。

 自身の強みは何かと問われた時、「慎重な性格」を挙げる。「なかなか決断できない」という欠点もあるが、「準備段階に時間をかけ、しっかりと目標を定めて、決めた後には諦めないで実行までやり遂げる」。

 その強みが発揮されたのが、東京で高機能樹脂製品の事業における最大の取引先を開拓した時。最初は何度訪ねても「カタログだけ置いて帰ってと言われるばかりだった」。根気よく5年間通い続け、やっと最初の注文をもらった。欠点を補うにはあまりある粘り強さこそ、今のクラボウにとって成長の柱である同事業拡大の礎を作ってきた。

 藤田晴哉社長は「自分でシナリオを作り、夢を描いて、構想を持って、具体的に実現していく」という、西垣氏の実行力の高さを評価。そのシナリオの監督や演出、作家のみならず、自らも「主演俳優を務め、どんどん(事業を)大きくして、部下を育てて、配置する。そういう能力にたけている」。「営業に対する執着心が非常に強い」ことも、次代に事業を伸ばしていく上で「最適な人物」と捉える。

 座右の銘は「不撓不屈」。子供の頃は「根気強く、物事に執着して目標を達成するまでは諦めない」性格だった。しかし、大人になるにつれて挫折を覚え、妥協を繰り返すうちに、安易なゴールを設定して「何となくやり過ごしていていることにふと気付いた」と言う。それ以来、この言葉を大切にし「自分を戒めている」。次期社長として周囲の期待に応えていくためにも、「この言葉を念頭に置いて、仕事をしていきたい」。(佑)

 【略歴】にしがき・しんじ  1986年3月関西大学商学部卒、4月クラボウ入社、2014年化成品事業部産業資材部長(現任)、18年4月兼熊本事業所長、6月執行役員、22年6月常務執行役員、23年6月取締役兼常務執行役員(現任)。61歳。趣味は50歳を過ぎてから始めたというゴルフ。「スコアを言うのも恥ずかしいくらい」だが、健康維持を兼ねて楽しむ。