特集 北陸産地(4)/新たな取り組み進む北陸産地/マルオリグループ/第一織物/吉田産業/カジグループ/大喜

2024年03月29日 (金曜日)

〈今春に織機80台更新/テキスタイルIJ導入/マルオリグループ〉

 マルオリグループの前期(2024年12月期)はその前の期比5%増の売上高245億円となった。今期は5%増の258億円を計画する。

 前期は「アップティー」を柱とするIT事業が大きく伸び、売上高52億円となった。織物も高付加価値化に取り組んだことなどで増収となり、産業資材分野も伸びた。

 中計初年度となる今期は、テキスタイルBU(ビジネスユニット)が高度化を進めながら微増を狙い、オンデマンドBU、トレーディングBU、産業資材BUは約10%の拡大を計画する。

 トレーディングBUでは「ノトクオリティ」を中心にテキスタイル輸出を拡大するほか、関連会社のウィルテキスタイルを軸に製品事業も伸ばす。今期は特に韓国と中国の市場に力を入れる考えで、韓国では現地の商社と組んでショールームを置き、中国では今秋のインターテキスタイル上海に出展する予定。

 設備投資は、エアジェット織機(AJL)とウオータージェット織機(WJL)を合わせて80台強を更新する。新台は来月ごろから導入を開始し、5~6月から本格稼働させる計画。WJLは自動化を進めながら生産品種の高度化を図る考え。AJLでは得意とする薄地に加え、婦人やユニフォームなどの中肉地の開発にも力を入れている。

 テキスタイル用のインクジェット捺染機も初めて導入する予定で、各BUが活用して新しいビジネスモデルを作っていく。

〈アウター、ボトムス素材開発/ECで顧客層広げる/第一織物〉

 第一織物は、用途を広げる開発や頂点商品の開発に注力する。第1四半期(23年12月~24年2月)は、中国向けが大きく回復し、韓国も計画通りに推移するが、欧州が前年比、計画比ともマイナスになった。上半期では計画に対して微減になる見通しで、下半期での挽回に向けて手を打つ。

 欧州では、新しい商品の投入とともに、既存顧客の掘り起こしを進めて回復させる。

 商品面では第一織物を象徴する頂点商品の開発に注力するほか、展開アイテムを広げる開発にも取り組む。現在は得意とするダウンウエア用に加え、一枚物のアウターやボトムスにも使える素材の開発を進めている。新しい商品の開発に向け、尾州など他産地の染色加工やレピア織機を持つ織布工場との協業なども検討する。

 日本向けは前年並みで推移するが、今後は電子商取引(EC)を強化しながら顧客層を広げ、拡販につなげる。昨年10月から展開を始めたBtoBのECサイト「DICROS ONLINE STORE」は会員数が順調に増えており、下半期からの本格販売を狙う。新規顧客の獲得にもつながる見通しで、現時点では会員数の約半分がこれまで取引がなかった企業になっていると言う。

〈グループ連携し用途開拓/ゴルフウエアなど販売開始/吉田産業〉

 吉田産業はグループ連携による開発を強化し、展開用途を広げていく。親会社である小松マテーレとの協業のほか、インターリンク金沢などとの連携も進みだした。

 小松マテーレの子会社になって約2年が経ち、吉田産業の編み立てと小松マテーレの染色加工を組み合わせた開発が着実に進みだしている。

 既にゴルフウエアでの販売が始まっており、今年は中東向けも伸びる見通し。

 中東向けはアバヤに焦点を当てて開発を進めている。ジャカードのダブルニットを使い、通期性やデザイン性を訴求する形で販売先を増やしている。一昨年の9月から展開が始まったが、協業による開発で今年はさらに伸ばす。中東以外でも海外への自販を伸ばす考えで、ゴルフウエアでは韓国向けの展開も決まった。

 今後は産業資材や生活資材などの用途でも協業による開発を強化していく。

 グループ内連携も進みだした。昨年春にはセイホウを吸収合併し、吉田産業との一体運営を開始している。セイホウは、サポーターなどを企画・販売し、生産は協力工場を使っていたが、現在は吉田産業の編み機を生かした開発やセイホウの強みを生かした新しい商流の開拓などに取り組んでいる。

 インターリンク金沢との連携も始まり、吉田産業のシームレス編機で生産した無縫製の衣料品を「サラリフィット」ブランドとして販売している。

〈新工場は11月稼働/「カジフ」順調に拡大/カジグループ〉

 カジグループは能登半島地震でカジナイロンの仮撚り機の一部に被害を受けたが、機械を分解・組み立て直して対応し、2月中旬にはフル稼働に戻した。カジナイロンでは設備への被害や機会ロスで約5千万円の被害があり、丸編みのカジニットでも地震の影響があったが、4月には全工場を地震前の状況に戻し、今8月期は全てのグループ会社で黒字を確保する計画だ。

 織布のカジレーネでは地震の影響は軽微で、フル稼働が続く。現在はアウトドア80%、ファッション20%で、今秋の新工場の稼働に向けて両用途とも拡大していく。今後は資材用途の拡大にも注力する。

 テキスタイルブランド「カジフ」も順調に拡大している。外注を含めて織機300台を稼働させるうち、30台をカジフで回す形になった。今後はさらに伸ばしていく考えで、糸からの開発を強化して既存顧客との取り組みを深めるともに、アウトドア用途での拡大を狙う。中国内需など新市場開拓にも取り組み、2年後には約60台をカジフの生産に充てる形にする。

 ウオータージェット織機160台を増設する形で建設を進めている新工場「カジファクトリーパーク」は当初計画より2カ月遅れ、11月の稼働を予定する。併設する公園を含めたオープンは来年4月3日の予定。

〈自動車用途が堅調に推移/ジャカード軸に開発/大喜〉

 大喜は主力の自動車用途がけん引し、10~12月に続いて1~3月もタイトな状況が続く。レピア織機、エアジェット織機ともフル稼働。4~6月も引き続き堅調に推移する見通し。

 カーシートではシンプルなデザインが増える中でドビー機が好調だが、ジャカードでの開発案件も増えている。リサイクルポリエステル糸使いなどサステイナブル品の生産も増えている。

 現在は車輌用途が90%を占めるが、今後は商品開発を強化して用途を広げていく。特にジャカードの技術を生かした開発に注力する考えで、絡み織りとジャカードの技術を組み合わせて光ファイバーを織り込んだ発光ジャカード織物「ライトウィーヴ」や防草シートなどの開発が進んでいる。ライトウィーヴはさまざまな用途で注目されており、量産化に向けた開発も進みだしている。

 このほど経済産業省・中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選ばれた。革新的な製品・サービス開発、地域経済の活性化、多様な人材活用などの観点から優れた企業を選定・表彰するもので、ライトウィーヴなどが評価され、事業再構築・生産性向上部門で選出された。