新卒の心をつかめ 24年4月採用最前線(上)

2024年04月01日 (月曜日)

繊維は24社中15社で増

 繊維関連の大手企業を対象に本紙が行ったアンケートによると、今年4月の全社ベースの新卒採用数は、回答を寄せた27社中18社で前年より増えた。繊維事業に限っても24社中15社で増加。大学院卒、販売職、エリア職などを除く総合職を中心とした初任給は、回答があった22社平均で前年比3・4%増となった。4割の企業が来年以降も採用の増員を計画しており、人手不足の中、熾(し)烈な人材の争奪戦になりつつある。

 24年の新卒採用数は全体で前年に比べ2割ほど増えた。計画に対する増減を聞いたところ、23社中「予定通り」が半数だったものの、「多い」が5社、「少ない」が6社あった。スタイレム瀧定大阪が「今後の事業展開を見据えて増やした」としたように、計画より多く採用するといった動きも見られた。

 アパレル企業を全社ベースで見ると、6社中5社で増加した。販売職の採用増が目立ち、ワールドでは119人、バロックジャパンリミテッドでは10人増えた。オンワードグループは35人増加。業績の回復を理由にするケースも多く、三陽商会では「新型コロナウイルス禍を脱し事業基盤の安定化が図れた」ことで30人増加、クロスプラスも「業績向上に伴い人員を補充するため」として12人増となった。一方で前年は大きく増やしたTSIホールディングスでは「競合の採用強化」を理由に18人減った。

 合繊メーカーでは新卒採用で明暗が分かれた。東レ、旭化成、クラレが15人増やした一方、帝人、東洋紡、ユニチカは減った。75人増やした旭化成は「海外での売り上げ拡大に伴う製造・販売要員の拡充、サステイナブルをテーマとした新規技術の加速のため」とする。

 繊維事業に限ると商社では全てが増員。瀧定名古屋やヤギは「業績回復に伴う増員」を理由に挙げた。タキヒヨーは「前年、新卒採用を行わなかったデザイナー職の新卒採用を行った」ことで3人増加。MNインターファッションは「中長期的な成長を見据え、人材基盤強化のため」に5人増やした。

 素材メーカーの繊維事業では減少が目立つ。全社では大きく増やした旭化成は3人減少。富士紡ホールディングスでは「繊維部門の事業会社から採用依頼がなかった」として1人減少した。シキボウは「今後の事業展開を見据えた適切な人員構成のため」として3人増やした。

※「繊維事業への新卒採用数」は2日付に掲載予定