繊維ニュース

UTC 今期も「トコトンやる」

2024年04月02日 (火曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)の久内克秀社長は、2024年度(25年3月)の基本方針として「『見直す』『伸ばす』『減らす』『増やす』を念頭に、できることをトコトンやり切る」と話す。特に自家工場の在り方、低採算ビジネスの見直し、海外法人を活用したグローバル供給体制の強化などに重点的に取り組む。

 久内社長は23年度業績に関して「会計基準上の調整の影響で売上高は当初予想を若干下回る可能性があるが、営業利益は少し上振れした」と話す。特に衣料繊維事業はユニフォームが堅調だったことで増収増益となったもよう。このため営業損失は大幅に減少する見通しだ。

 ただ、下半期から円安による海外調達コストの増加による利益率低下や、ユニフォームで流通在庫調整の動きが強まっており、24年度も先行き楽観できない。このため、24年度も引き続き事業構造改革による収益力の強化に取り組む。

 基本方針に掲げる「見直す」として、稼働対策や生産規模を含めた自家工場の在り方、ユニフォーム事業の見直しを検討する。例えば染色加工子会社の大阪染工は昨年度から外部からの受託加工を止め、100%自家加工の工場として運営しているが、社外から受託加工の要望が現在も根強いことから対応を考える可能性が出てきた。ユニフォーム事業は備蓄ワークウエア向けで低採算商権があることから、価格改定も含めて今後の対応が課題となる。

 「伸ばす」では自家工場の生産能力の維持・拡大に努めると同時に、グローバルアライアンスも含めた取り組みで海外市場の開拓に取り組む。

 「伸ばす」として、インドネシア、ベトナム、中国の子会社を活用することでグローバル供給体制を強化する。また、環境配慮型商材やオリジナル素材の開発・販売の拡大に取り組む。そのためにシキボウとの連携の活用をさらに進めるほか、「昨年発表したカポック繊維使いの複重層構造紡績糸『パルパー×カポック』などに続く商品を開発する。さらに繊維to繊維リサイクルに向けた取り組みにも着手したい」と話す。

 そのほか「減らす」として販管費削減や在庫圧縮、運転資金回転率の改善に取り組む。こうした取り組みで24年度は営業黒字浮上を目指す。