ごえんぼう

2024年04月08日 (月曜日)

 「世界三大無用の長物」といえば「ギザのピラミッド」「万里の長城」「戦艦大和」とされる。日本人として大和が入ることは残念な気もするが、確かに太平洋戦争で大した戦果を挙げぬまま1945年4月7日、米軍に撃沈され、悲劇的なイメージが先行する▼『日本史サイエンス』(播田安弘著)を読んでから、大和が後世に巨大船体の建造や鉄鋼などさまざまな技術革新に貢献していたことを知り、少し見方が変わった。だが、無用の長物にしてしまったのも実は日本人自身だった▼41年、マレー沖海戦で日本が英国の戦艦2隻を撃沈した。航行中の戦艦を航空機だけで撃沈した世界初の海戦で、航空機の優位性とともに戦艦が時代遅れになりつつあることを証明したのだ▼本来ならその時点で巨大軍艦の建造を止めるべきだった。今の世にもいまだに似た話は多い。“新”三大無用の長物に日本のものが再び入らないことを切に願う。