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スタイレム瀧定大阪 海外向けさらに伸ばす

2024年04月10日 (水曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は今期(2025年1月期)、引き続き海外市場向け生地販売を伸ばす。

 そのため、「簡単なことではないが」(瀧隆太社長)と前置きしつつ、国内仕入れ先との協業体制をより深めることで納期短縮を狙うとともに、アジア各国で備蓄機能を整える。

 24年1月期はグループ連結、単体ともに前期比で増収増益を果たしたものの、生地販売では機会損失が頻発した。日本の仕入れ先で人員不足や廃業が顕在化し、国内外の顧客が求める納期を実現できないケースが増えたためだ。この改善に本腰を入れる。

 同社は21年2月に、同社事業の基盤である国内サプライチェーンを最適化し、納期短縮やコスト削減を実現するテキスタイルSCM推進部を社内に設置。まずは、「どこで何がどのように作られているのか」の実態把握を進めた。これまでは北陸や尾州、播州など各産地の産元との取引が主体だったが、その先の染色加工場、織布工場、ニッター、準備工程までを把握対象に広げ、そのデータを蓄積していった。結果、さまざまな課題が抽出され、染色加工場などと発注時期や発注数量の最適化チームを構成するに至っている。

 「(日本のモノ作りの危機を)眺めていてはいけないという意識を社内に浸透させていく」として社員の意識改革を促すとともに、産地企業や染色加工場と協業しながらサプライチェーンの最適化に努め、特に納期短縮をかなえていく。

 それを特に、近年好調な海外市場向け生地販売のさらなる拡大につなげる。一方、地産地消やローカライゼーションのニーズが高まっていることを受け、現地での備蓄も開始する。中国では古くからこの機能を持つが、ベトナムでもスタートさせたほか、今期中に韓国でも現地備蓄を始める。中国や東南・南アジア、イタリアなど各法人への人員増強も図る。